焚き付け

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徳光質感迷走記 前編

 この記事は、たまたま近くを通る機会があったのでガルラジチーム徳光の舞台であるところの石川県は松任周辺をふらついてきた旅行記になります。旅行記とはいってもタイトルの通りかなり迷走しており、また質感旅行の名前にかこつけて好き勝手関係あることないことを雑多に書いていますので、あしからず。それではどうぞ。

 

 

香林坊

  ある日の16時頃、金沢市香林坊という場所でバスを降りた。すっきりとした秋晴れの空だったが、落ち葉を飛ばす少し強くて冷たい風からは長くて暗い日本海側の冬の気配も感じられる。…こんなにこねくり回して書いても回りくどいだけだな、もっとシンプルに行こう。当初は金沢で降りてまっすぐ松任に向かう予定だったのだが、偶然にもバスが香林坊にも行くことを知って、せっかくだからと行くことにしたのだ。タイムリミットは翌朝9時ごろ、たった16時間で徳光を満喫しようという強行日程だ。この記事のタイトルに迷走と入っているが,思い返せば開幕から迷走は始まっていたようである。

 さて、ガルラジの放送内では香林坊の名前は登場しない。ここは1stシーズンのつぶやきの中で言及されたした場所だ。つぶやきの方で登場したのは1st第2回と第3回の間にあたる2009年1月15日、そのつぶやきをそのまま引用すると、「雪がそれほどでもなかったので、香林坊まで自転車で行ってきました。あ、香林坊っていうのは金沢で一番おしゃれなとこです。」というもの。アプリが使えなくなった今つぶやきはもはや見られないが、有志の方がまとめたものをネットに上げているので、そちらを参照されたい。

(追記)ちゃんと聞いてんのかお前1-3で出てただろという指摘がありました。すいません。聞き直したらちゃんと「香林坊にも自転車で行く」って言ってました。勉強不足が露呈したので後編書いたらしばらく隠れます。

 

 香林坊という場所についても簡単に説明しておこう。場所はというと金沢駅から南南東に2キロくらい離れた場所で、金沢城兼六園がある界隈のことだ。要はかつての(今もだが)中心街ということである。兼六園があるということで当然観光の中心だし(海瑠おすすめの21世紀美術館もここにあるぞ),商業や金融もここが中心なので,とりあえずここに行けばなんでもあるという感じだ。海瑠は続くつぶやきで「東京なら銀座」と言っていたが,都市機能の集中度という点ではそれ以上のものがある。

 つまり、香林坊は海瑠にとって「行ける範囲で東京に一番近い場所」ということだろう。実は自分はこのつぶやきではじめて香林坊という地名を知った上にバスが到着したタイミングで飛び起きたので,降りるまでどんな場所かは全く知らなかったのだが、なるほどおしゃれな町だという印象を受けた。バスが停まった百万石通りは片側3車線の広々した道で,中央分離帯に植えられた木にはクリスマス用だろう,白いイルミネーションが取り付けられていた。通りの片側はビルが立ち並び,もう片側は広々とした公園になっている。本当は先に白山市に行って田舎にうんざりしてからここに来て都会の空気を味わうべきなんだろうが,時間というものもあるのでまあ仕方ない。

 僕は適当に歩くとどんどん人のいない方へ進むように出来ている。気付けば僕は繁華街とは反対方向,公園の方へと来ていた。ここはかつて県庁や旧制四高があったところらしく,今は広い芝生の中に残された建物が記念館として活用されているみたいだ。そのまま適当に歩いていくとジェネリック兼六園みたいなのがあり,いつの間にか金沢城にたどりついていた。もう空が薄暗くなっていた,こんなことをしている場合じゃない。突然我に返って慌てて城を降りるのであった。

 

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無料で兼六園に行った気になれる

 香林坊の交差点に戻ってきた。ここが界隈で最も重要な場所で,香林坊アトリオと香林坊東急スクエアというふたつの大きな商業施設が立地している。

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右がアトリオ,奥が東急スクエア

 まずはアトリオから行ってみよう。ここの核テナントは大和(だいわと読む,やまとではない)百貨店だ。この記事を読まれる方の中には知らない方も多いかとは思うが,富山の総曲輪にも店舗があり(かつては高岡や新潟などにも店舗があった),北陸の百貨店と言えば大和というレベルで北陸での知名度は高い。当然海瑠も吉田さんも知っていると思われる。さて,フロアガイドを見ていただければ分かるのだが,ここは明らかに普通の女子中学生が行けるような場所ではなく,なんなら登山ズボンに破れたフリースという格好の自分がいて良いような場所じゃない。でも海瑠はこういうところに時々来て,やっぱり今の自分じゃ買えないけどって思いながら東京への思いを募らせてて欲しいですね,はい。

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フタリデスゴス クリスマス ですってよ,奥さん。

 これは完全に自分の趣味なのだが,アトリオには絶対に訪れておきたい場所がある。それは大和の屋上遊園地だ。デパートと言えば最上階の大食堂と屋上遊園地である。とは言えどちらももうほとんど残っていないのだが。屋上遊園地が今も残るデパートはもう日本には10軒もない。その貴重なうちのひとつがここ香林坊大和である。シースルーエレベーターで最上階に上がり,そこから更に階段を抜けると両親に連れられて遊びに来た幼き頃の海瑠や吉田さんの気配が…

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地味に貴重な風景なんですよ,これ

 うーん,あんまりしませんね…。少なくとも海瑠(だいたい10年弱くらい前の風景になる)は感じられない。吉田さん(17,8年前)ならギリギリ…無いかな。もう夕方で外に客は誰もおらず(中のちっさいゲームコーナーには数人いた),掃除をしている店員に不審者を見る目で見られて悲しい。いやでもチャリでここまで来るのに疲れた海瑠はカフェに入るのをケチってこういうところで休憩してて欲しいな。人も少なくて快適だし。

 

 続いて向かいの東急スクエアに入る。ここはかつて香林坊109という建物だった。あの渋谷109の系列である。2016年から今の東急スクエアという名前になっている(そもそも109は東急系列の店だ)。海瑠が来ていそうなのはもちろんこっちだ。目玉となるテナントは当時北陸初出店の東急ハンズで,その他のテナントもアトリオと比べればぐっと若者向きになっている。早速東急ハンズに入ってみると,中高生くらいの層が結構いる。そうそう,これが求めていた風景だ。高濃度の質感を感じる。1stの「集え,JCJKの流行り物」コーナーなんかで調査したみたいなつぶやきがあったけれど,金沢まで出ているならここは間違いなく来ているだろう。隣にはタピオカ屋もあったが誰も並んでいる人はいなかった。もうブームは過ぎたのか?数ヶ月前にはもっと混雑していたのかどうかは気になるところである。

 

○(閑話)吉田文音香林坊109

 この部分は横道にそれる。おまけに様々な吉田さんについてのオレオレ解釈が書かれているので基本的に読み飛ばしてもらいたい。

 僕は,吉田さんにはかつて手取川海瑠と同じように東京への強いあこがれがあったと考えている。家が大工というとりわけ地元志向が強そうな生まれにも関わらず東京で就職したのにはそれだけ強い思い入れや憧れがあったと考えるからだ。彼女はラジオ内で姉や妹は自分と違ってよくできるという趣旨の発言をしているが,これはひとり家を出て東京に出たことへの負い目だと思っている。

 中学生の頃か高校の頃か,とにかくいつのことかはわからないが東京に出たいと思う原動力に香林坊109の存在があったんじゃないか。渋谷109といえば多分地方の人でも知らない人はいない,ティーンから20代向けファッションの殿堂と言っても良い場所だ。吉田さんは本当にギャルなのかという話題は自分の中でまだ決着はついていないのだが(髪色以外のギャル要素が薄いため),学生時代の吉田文音はここに来ては渋谷の本店に思いを馳せていたんじゃないかという気がする。

(以下さらに追記)自分の中では吉田さんは東京の大学に行ってそのまま就職という設定だったのだが,社会人を既に1年やっている状態で年齢が22歳(今はもう23歳か)ということで大卒ではなさそうである。うーん困った。高校を出てそのまま東京で就職というのはあまり考えにくいので,今のところ地元(か東京)の短大→東京で就職という設定に変更しておいた。いやしかし本当にこんなに単純な話なのだろうか。吉田さんの過去に関する情報は不自然なほどに少ない。というか過去に限らず全体的に謎が多すぎる。2ndまでの間のゴタゴタとか(普通の組織ならそんな簡単に首にせんだろ,小説見る限りあんまり普通の組織っぽくはないけど),手取川くるみとの関係性とか。3rdシーズンでもなんでもいいが,どこかで語られることを期待したい。

 

 あんまり長々と書くといつまで経っても記事が完成しないのでサクサク進もう。東急スクエアから出た後は,裏手のせせらぎ通り商店街を見つつ表通りに出て,ぐるっと一周してから片町方面へと向かった。せせらぎ通りは比較的小さなセレクトショップや料理店が集まる場所で,少々店舗密度が低くこの時間だとやや暗い雰囲気もあったがなかなか良いところだ。対する表の百万石通りは銀行などが多く立地するオフィス街で,こちらはあまり用がなさそうな感じ。次に向かった片町通りは最も繁華街然とした場所で,飲み屋から伝統工芸品の店まで非常に雑多な界隈だ。人も車も多く,自転車はなかなか肩身が狭そうである。雑居ビルが多くを占める中でひときわ目立つ建物が片町きららという建物だ。ここはかつてアトリオ移転前の大和があったところつまり大和百貨店創業の土地で,今は再開発の末LoftやH&Mなど若年層向けのテナントが多く入っている。ここなんかも来てそうな場所だ(もう日もすっかり暮れていて学生連れはほとんどいなかったけど)。店頭ではどこだったかは忘れたが高級車の展示試乗をやっていた。

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スクランブル交差点から見た片町通り,あまり自転車では通りたくないところ。

○8番

 スクランブル交差点を抜けてさらに奥へ向かうところに8番ラーメンがあったので,反射的に入ってしまった。時間はもう6時,まあ8番なら入っていいだろう。自分の記憶が正しければ8番に最後に行ったのは去年の夏で,あれは富山駅中の店だった。今まで合計で行った回数は5回くらいだと思う。自分は関西在住だが,8番といえば北陸地方の象徴というイメージがある。が,海瑠も誤解していたように地元の人々にとっては当たり前のようにあるもの,そして全国にあるものという認識なのだろう。ちなみに8番は海外でも頑張っているぞ。

 カウンターに座ってメニューを眺める。前は確か野菜ラーメン醤油単品だったなーと思いながら,しばらく逡巡。小さな8番セットを頼むべきなのかと思いつつ,別に餃子いらんし…とか150円高い割に量減ってるし…とか悩んだ挙げ句選んだのは野菜ラーメン塩並。みみっちい奴め。いや手取川だってなあ,ひとりで来る時は手持ちのお金見てこの150円をやるかやらないかで悩んでるんだよ多分(ひとりでは来ないかもしれないけど)。うまかった。

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なぜか拡大した写真しか撮っていなかった

 食べ終わって店を出る。ここがだいたい界隈の端っこで,まあ最低限回るべきところは回ったと言えるだろう。本当は道路を挟んで向かいの竪町にも行きたかったが,そろそろ時間もあまりないなと思ってやめておいた。入り口だけ見たが,竪町にはきれいなアーケード街があってここもおしゃれな場所だ。

 さてここからどうしようか。いずれにせよ向かう先は白山市だ。バスで金沢駅まで戻るか,野町まで歩いて北陸鉄道で復帰するか,それとも…。出した結論は,徒歩。これが第二の過ちだだったとも知らずに…。距離は10キロちょっと,2時間ちょっと歩けば着くんだからせっかくだから海瑠が金沢まで出そうなルートをそのままなぞってみようという魂胆だ。

 

手取川家はどこにある?

※これは私の勝手な推測であるということをよくよく承知の上でお読みください。

 金沢までのルートを推定するにあたってまず手取川家はどこにあるのかというのが重要になってくる。既出の情報からこれを推測してみよう。以下箇条書き。この際「家が美容室」などの情報は実際をモデルとしているとは考えにくいので省くことにする。

1.白山市

2.自転車で金沢に出る

3.金沢駅に出るときには電車を使った

4.駅前に商店街と美容室

5.いつも行く回転寿司屋に学校帰りに寄れる

6.普段は自転車で学校に行くが雪の日は徒歩

(こういうのストーカーじみててだいぶ気持ち悪いな)特に重要なのは5だろう。海瑠が名前を挙げたことのある寿司屋は「お寿司食いねえ」という店だけで,これはおそらく「すし食いねえ松任本店」のことだと思われ(すし食いねえは白山市にこの1店しかない),ということで家はこの付近だと想像できる。この情報は2,3,6とも調和的だ。これ以上深堀りするとどんどん気持ち悪くなる上に矛盾点が出てくる可能性もあるのでこの程度で留めておこう。生活圏を想像する上では駅より南で野々市市の近く,8号線に出やすい場所というだけで充分だ。何度も言うけどこれは個人の推測ですよ。違うという意見あれば歓迎します。

 

松任

 片町通りは国道157号線に指定されている。このまま道なりに進むと8号線と合流し,8号線を真っ直ぐ進むとだいたい想定手取川家の近所になる。ということで,このルートに沿って進んでみよう。8番を出てすぐにあるのが犀川大橋だ。近くにあった看板によると,国内でも有数の歴史のあるトラス橋で国の登録有形文化財にも指定されているとのことだ。普通に行けば通る場所だが,犀川くるみの存在を知って以降は通るのが嫌になってわざわざ隣の橋まで迂回しているとか妄想するのもなかなか楽しい。

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 橋を抜けると辺りは一気に静かになる。このあたりの風景は,例えるなら金沢よりもう少し田舎の駅で線路と平行に走っている通りのような感じだろうか。低層の雑居ビル(古め)やら家やら寺やらがごちゃごちゃと並んでいる感じだ。川向こうと比べると発展していないが,この辺りも割と古くからある場所で,忍者寺として外国人にバカウケの妙立寺なんかがある。ここでバス停を見て気付いたが,松任から香林坊までは路線バス1本で行けるようだ。つまり海瑠はバス代をケチって毎週のようにマイチャリで片道1時間くらいかけて金沢に通っていることになる。とてもじゃないが中学生の行動力とは思えない。いや、むしろ逆に中学生だからこその力強さがある。少なくともその力強さこそが僕が海瑠を応援したくなった理由だ。

 ところで、金沢駅の方に出る時は(1度きりだが)鉄道を使って行っていたようだが、彼女は電車という存在に多少なりとも都会を見出しているのかもしれないな、と思った。これはなんの裏付けもないのだが、僕は多くの人がバスは田舎の交通手段で電車は都会の交通手段というイメージを持っている思っている。まあ実際はそんなことはなくて、大都市ではバス網も地方と比較にならないくらい充実しているのだが…。まあそこまで行かなくても、バスよりは鉄道の方が都会の乗り物だというイメージはかなり一般的なものだと思う。僕の経験上、地方の電車に乗っている10代(に見える人)の9割は制服だ(朝夕に2両編成が学生で埋め尽くされるとかはよくある風景だ)。逆に言えば、通学で鉄道を使わない地元の人はほとんど電車に乗る機会はないと思う。特に鉄道より車の便がよい場所に住んでいる(予想)海瑠ならなおさらのこと。つぶやきでも電車で行ったことを強調しているというのもあるし、やはり電車に都会のイメージを持っているのかなとは感じた。

 

 そんなことを考えながら歩きつつ、またバス停があったので見てみると気付けば松任行きの路線が時刻表から消えていた。呑気に歩いていて道を誤ったかと思い地図を開いてみると、ちょうど手前の有松交差点で157号線は右の道に逸れていたようだ。同じルートで香林坊から松任まで辿ってみようという方は気をつけていただきたい。ちゃんと青看板を見ていないと確実に間違えると思う(松任からならあまり間違えないと思う)。

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僕からすればレトロでかっこいいのだが、海瑠は違う感想を持つんだろうな…

 ここから先は比較的新しい道なのか、周りの雰囲気はかなり住宅街っぽくなってくる。時間は19時、なんか思ったより押しているぞ?ということで、少し歩くのを早める。道沿いに怪しげな文房具のスーパー(結構大きい)みたいなのがあって入ってみたかったが、残念ながらカット。まあこんなとこ海瑠は行かんだろうけど。

 文房具屋のすぐ奥に久安という交差点があったのだが、この交差点はかなり奇妙な場所だった。ストリートビューで見られるので、興味のある方はご覧いただきたい。何が奇妙なのかというと、その整備度合いである。ここは幹線道路と細い生活道路の丁字路というそれほど大きくもない交差点なのだが、なぜか横断歩道と立派な地下道が両方整備されていたり、横断歩道とは別で軽車両用の信号が設置されていて生活道路にことぶき道路の標識があったり、奥に謎の歩道橋があるなど異様なまでに整備が整っていた。さては昔大規模な交通事故でもあったのかなと思って歩きながら調べてみると、どうも交通事故ではなく殺人事件が2009年にあったらしい(しかも未だ未解決とのことだ)。おいおいおっかねえなあ。一応最後にその事件についてのwikiのリンクを載せておく。が、ここで言いたいのはおっかないとかそういう話ではなく、質感旅行ってすごいなという話だ。普通に歩いていただけならこの交差点を見ても何も思わなかっただろう。今回このことに気付けたのは、どこかに彼女たちの存在と空気感を感じられる場所がないかと感覚を研ぎ澄ませて歩いていたおかげだ。質感旅行という(言葉としては)おそらく生まれてまだ間もない旅行の形態は、通常の聖地巡礼的な旅行に加えて路上観察とかそれに近い要素が加えられた、(少なくとも自分にとっては)新しいひとつの旅の可能性になれるのかもしれない。

 またぼさっとしていたら道を間違える交差点を今度は青看板を見てきっちりスルーすると、奥にラウンドワンがあった。スポッチャもある大型店舗で、海瑠が吉田さんの強い希望でしぶしぶついて行くも振り回されてへとへとになっている姿がありありと想像できる。ちらっと入り口だけ見てみると案の定学生っぽい集団が何人もいて、地元の学生とかの主要な遊び場になっているであろうことは間違いがない。土日ともなれば白山市の学生たちも自転車で来ていることだろう。

 

野々市

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 そんなこんなしているうちに道路は高架になり、川を越え北陸鉄道の線路を飛び越えた。大都会金沢はこれでさようなら、ここからは野々市市だ。するとどうだ、いきなりこの風景。高架から遠くを見渡してみると、見えるのはでかいパチンコ屋にでかい靴屋にでかいスポーツジムに中古車販売店。あらゆる商業施設の看板がこれでもかと主張してくる。これだよこれ、郊外の風景といえば。やはり郊外のロードサイドはこうでなくては。そりゃあこんなところで毎日暮らしてたらうんざりもするだろう。これは自分の頭の中にある海瑠の見ていたであろう風景と同じだ。この瞬間僕は完全に白山市民になった。まだ野々市だけど。

 なぜかカレーの看板が立っているにも関わらずとんかつ専門店と書かれているふざけた店があったりブックオフに寄りたい気持ちを全力で押し殺したりしながら歩いていると、時間はもう7時半を過ぎていた。このあたりでようやく本格的に時間が本格的に押していることに気付く(遅い)。

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一枚で矛盾するな。

松任

 というわけでバスで松任駅までワープした。たしか250円くらい。小さな8番セットにするための150円ケチってここで250円使ってるようじゃ意味ないんだよな…。時間は8時前。どうせ明日も来るだろうと思って松任駅の写真は撮らなかった。これが最後だったとも知らずに…。

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ちょうどいい時間にバスがあったのは不幸中の幸い

 さて急ぎ足で向かったのは、駅の南にある3軒のショッピングセンター、イオン松任店とラスパ白山(ユニー系列)、そしてフェアモール松任店(これもユニー)である。このうち後者2店は共に営業時間が21時までということで、あと1時間しかない。本当なら1店舗ごとに1時間くらい使いたいくらいだったのに、どうしてこうなった。このSC巡りが今日のメインの予定だったんだが…。ラジオ内に登場する「ピアンモール(僕にはそう聞こえる)」がこの3店のうちどれなのかということを調べたかった。

とりあえず向かったのはラスパ白山。白山市役所の向かいにあり、この3店の中では一番新しい、2015年にできたSCだ。イオンとアピタが近距離で殴り合いをしている中でユニー側がドミナント(近くにたくさん出店することで他の会社に出店させにくく、あるいは撤退させて周辺の需要を独占しようとする戦法。同じユニー系列のファミマがよくやる)的に出店することで商圏を削ぎにきたという流れだろう。なるほど確かにイオンより人口密度の高い駅側に作ることでその辺の需要は吸収できそうに見える。ラスパというのはまだ3店舗しかないらしいが、ユニーの経営するSCの中でも特に小規模のモールを指すようだ。核テナントはスーパーマーケットのピアゴで、他には本屋、服屋、靴屋、旅行代理店などが入っていた。これはショッピングモールと言うよりは商店街の機能を一か所にまとめた程度のものだ。最近は大型店と小型店の役割分担が進んでいるので、おそらくこの手の店舗形態は今後増えてくると思う。確かにこれはショッピングモールだけど、フードコートもないし少なくともこれは海瑠が想定しているモールではなさそうだ。ちなみにここはまだ開発途中で駐車場になっている西側の空き地に最近温泉の採掘許可が出たそうで、今後恐らく温泉かスーパー銭湯ができると思われる。白山おふろランドもうかうかしていられない。

 時間がないのでスーパーをぐるっと一回りしてから各専門店の前を歩いて、急ぎ足で次のフェアモールに向かう。ちなみにラスパでは手取川は売っていたが吉田蔵は売っていなかった。本当はイオンの方が近いのだが、こちらは11時までやっているのでまだ急がなくても大丈夫なのだ。フェアモールまではだいたい直線距離で700m、道の都合で実際は1キロくらい。どう考えても商圏が被っている。1時間ぶりに8号線に戻ってきて歩くこと5分くらいで到着した。ここは見るからに旧型というか、2000年周辺のショッピングセンターの趣がある(開業は95年)。広々とした駐車場を取り囲むように核店舗のアピタケーズデンキ、スポーツゼビオ、スタバや焼肉屋などの細々した店舗がそれぞれ立地している。さらにアピタに併設の立体駐車場や塔屋看板もあって、まさに自分の想像していた海瑠の言うショッピングモールだ。もうアピタ以外※は閉店していたので、アピタだけ見て回る。ここもフードコートはないみたいだ。しかし店内の品揃えはなかなか充実していてだいたい一通りそろっている印象を受ける。どちらかというとこの店は吉田さんの気配を感じた。特に二階の売り場なんかにいそうな感じを受ける。もっとも、これはいそうというよりかつていただろうという印象が強い。単純に見る時間が少なかった上にこの記録を書くのに時間がかかってそろそろ記憶が消えつつあり、あまり具体的な事はこれ以上思い出せない。ここも手取川は売っていたが吉田蔵は売っていなかった

※フェアモール松任はユニーと松任商業開発協同組合によって共同で運営されており、組合の店舗は20時で閉店するようだ。組合の店舗はほとんど地元の商店で構成されており、いわゆる福井方式で運営しているようだ。

 

 9時目いっぱいまでアピタを回ってから、8号線を逆戻りしてイオンに向かう。その距離わずか1.3キロだ。開業はフェアモールと同じ95年(当時ジャスコ松任店)、なんでこんなことになってるんだ…。当時の松任市は何を考えていたんだろう。ちなみにもっと前には松任駅前の今は俳句館になっている場所にジャスコ松任店があったそうで、その店の閉店とほぼ時を同じくして開業したようだ。この店は車以外での訪問をあまり想定していないのか、徒歩だとぐるっと回って入らなければならず、非常に生きづらい。そんなんだから海瑠に嫌われるんだぞ。ここの核店舗はイオンとトイザらス、それにスポーツオーソリティで、フェアモールと比べると電気屋の代わりにおもちゃ屋が入っているという点が一番大きな差になるだろう。イオン食品売り場以外はほとんど閉まっていたが。売り場面積はイオンの方が少しだけ狭いが、こちらはフードコートがある。しかしフードコートのテナントはスガキヤたこ焼き屋うどん屋のみで、想像していたよりは狭い。ここの食品売り場は酒の売り場だけ独立しており、探すのに苦労した。酒売り場確かに充実していたが、それでも吉田蔵は売っていなかった。販売店を限定しているのだろうか。お土産に手取川を買った。ついでに割引品でもハイエナしようと思っていろいろ漁ってみると、ひゃくまん穀を使用したおにぎりが半額だったので購入した。味はブリ飯とたくあんマヨ。どちらも全く味が予想できない。その後かつてジャスコだった名残がどこかにないか探してみたところ、唯一スタンドの下の隅っこに見つけることができた。11時くらいまでうろうろしてから退店。

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吉田さん、まだジャスコって言ってそう

○ピアンモールはどれか?

 可能性が高そうな3店舗をそれぞれ巡ってみた。しかし、どの店舗も自分の想像していたものとは少し違うものだった。行く前の自分の想像では、ピアンモールはもっとイオンモール的な、吹き抜けと回廊の構造の建物だった。今思うとこれは明らかに「モール」という言葉に引っ張られていた気がする。僕の中にはショッピングセンターとショッピングモールに明確な区別がある。モールはさっき言ったような回遊型の長方形構造で、ショッピングセンターは専門店が少ない正方形構造というイメージだ。ちなみに実際のところはショッピングセンターとショッピングモールを区別する定義は存在しない。

 しかしどうだろう、いつからかは分からないが、ショッピングセンターという言葉は世間でめっきり聞かなくなった気がする。代わりに使われるようになったのがショッピングモールだ。そう考えると今やショッピングモールという言葉は旧来のショッピングセンターの意味をも内包しているのかもしれない。僕の場合、たしか小学校の3,4年あたりに隣町にできたダイヤモンドシティ(イオンに吸収された)が人生で初めて見たショッピングモールで、それまではショッピングセンターといえば近くのダイエーともっと遠くのサティしか知らなかった。そういうわけで、ショッピングセンターとショッピングモールを区別しないのには少し抵抗感がある。ガルラジストの皆様は僕と同じくらいの世代の方々が多そうだがどうだろうか?昔はショッピングセンターと言っていたが今はショッピングモールと呼んでいたりしないだろうか?しかし海瑠は2000年代中盤の生まれ、自分と違って物心ついた時にはモール形態がトレンドだったはずだ。ショッピングモールという言葉がショッピングセンターを意味するものだと思っていてもおかしくないだろう。そんなわけで、自分はモールという単語に引っ張られていたが、それはショッピングセンターと考えて良さそうだ。むしろ、その方が新しいモールより田舎のイメージもある。

 イメージを修正したうえでもう一度考えてみたい。まず、できた時期的にラスパは違いそうだ。フェアモールはイメージ的には近いのだが、フードコートが無いという致命的な問題がある。その点で言えばイオンなのだが、イオンも正直フードコートが物足りない印象があって、あの規模では知り合いと絶対顔を合わせるどころかむしろ知り合いしかいないという状況になりかねない。それに加えて先程のモールという単語が引っかかるというのもあり、やはりこの3店舗のどれかだとは言えないかなと思う。もう少し範囲を広げて探してみると野々市にイオン御経塚ショッピングセンターというのがあり、ここもモールではないのだが自分の想像していたものには近い。ただしここは旧サティなので映画館も併設なのだがそこはイメージと違う。そういうわけで、自分の中ではピアンモールは架空のままにしておこうという結論になった。あえて言うならイオン松任が一番近いとは思うが。

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フェアモール。写真中央に怪奇が写り込んでいる(ただのゴースト)

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日本に市場開放させて自らは倒産したトイザらス


 

松任 その2

 もう23時、タイムリミットまで残すは10時間程度だ。見たいところはまだまだたくさんある。本当ならイオンは10時くらいには見終えて今頃白山おふろランドでのんびりしている予定だったのに(白山おふろランドのモデルと思われるスーパー銭湯は後述するが23時で営業終了だ)。寒い。

 宿は取っていなかったが、近くにネカフェがあることだけは事前に調べて知っていた。8号線を挟んでなぜか快活clubとアプレシオが向かい合って喧嘩しており、そのどちらかにしようと思う。調べてみると快活は7時間で1600円強の学割で2割引き、アプレシオは5時間パックが1100円くらいだった。どちらも中途半端だ。6時間くらいが一番うれしいのだが。結局時間を潰してアプレシオに行くことにした。フェアモールからイオンに向かう途中で国道沿い特有のいかにもR18しか売っていなさそうなDVD屋(伝われ)が古本も売っているらしかったのを確認していたので、そこで時間を潰した。この手の店に入るのは初めてだったが、どういう客層が売っているのかは知らないが某b○○k ○ffとかとは違う品揃えの上に、一般書籍なんかは店のやる気がないのかかなり適当な値段で売られていたので予想以上に面白かった。ふと気付けば何故かびんちょうタン1巻を手に持っていたので買う。他に文庫も数冊買ったせいで荷物が重い。

 フェアモールの手前には先述したすし食いねえ本店がある。当然店は真っ暗だったが。はす向かいには8番ラーメンもあり、徳光質感欲張りセットとでも言うべき存在感がある。ちなみに8番の隣ははま寿司だ。値段はお高めの回転寿司屋価格で、そう考えるとおやつでここに行こうとする海瑠は意外と資金力があるのかもしれない。少なくとも僕には無理だ。おやつどころか普通の食事の場合でもここに行く前に8番で小腹を満たしてから行くレベル。ランチは比較的リーズナブルなので、旅行者の皆様は昼にすし屋に行って夜に8番に行くと比較的お財布へのダメージを減らしつつ質感を味わうことが可能である。いや普通は旅行中そんなに金のこと気にせんか…。

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こういう店を見ると貧乏旅行している自分が情けなくなることもある。

 12時を回ったころにアプレシオに到着。会員証の期限が切れているらしく、更新料300円かかったので結局快活とどっこいどっこいになった。これなら最初から快活で良かったやんけ…。無料アイスを貪りながら翌朝の予定と正確なタイムリミットを考えつつ就寝。

 

 思ったより記事が長くなって既にここまで書くだけで1週間以上かかっているのでここで一旦切ります。後編に続く…。