焚き付け

主に日記を書く

徳光質感迷走記 後編

 前編の続きです。前編に意外と反応があったので,雑ですが今日の移動ルートと関連する場所を作図しておきました。地理院タイルの空中写真(2007年以降)を加工しています。本当は背景に標準地図使いたいんだけど,測量法とかの都合でネットに公開する場合は申請必要なんですよね…(写真だと引っかからない)。それか地図を埋め込むという手もあるんだけど,そこまでやる気力はなかった。まあ見にくいですが多少は位置関係の理解に役立つかと思います。

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○白山おふろランド

5時、タイムリミットまであと4時間。前夜確認したところ13時過ぎには京都に戻らなければならないので、8時40分松任駅の電車で帰る予定だ。今日はいくつか寄り道をしながら徳光PAに寄って、ギリギリまで滞在してから近くの学校の通学風景を見つつ駅に戻るという計画を立てた。PAまでの距離は直線距離で7キロもあるので、これだけの予定でも意外と時間はギリギリだ。

 

 外はまだ真っ暗だ。でも歩いているうちに陽が上がるだろう。最初は昨日すでに営業が終わっていて行けなかった白山おふろランドのモデルになったと見られる場所に向かう。白山おふろランドだが、1-5でのCMを聞く限り、高濃度炭酸泉と薬草風呂が目玉のようだ。おそらくスーパー銭湯だろう。Googleマップで一応温泉も含めて検索して出てきた中で、この条件を満たすのが「満天の湯・道の宿 白山インター店」だ。ホームページにも高濃度炭酸泉と薬草風呂がアピールされているし、間違いがないだろう。すぐ近くだ。ホームページのリンクも貼っておく。

http://www.manten-yu.co.jp/hakusan/

 10分くらいで到着した。どうも6時から朝風呂をやっているらしく、従業員の人が開店準備をしていた。少し待てば入れるのだが、あいにくそんな時間はない。寒い。昨年8月にオープンしたばかりらしく、建物はとてもきれいだ。海瑠はいかにもよく行っているかのような口ぶりだったが、できたばかりだったとは。オープンしたてなら確かに宣伝が必要だろうし、等身大パネルの設置にも乗り気になってくれるだろう。完全に開店前の店の周りをうろうろする不審者と化してしまっていて少々後ろめたいが、フロントのあたりを観察する。パネルを置いていそうなのはフロント横か入り口すぐだろうか。想像していたより小さかったので、意外と置ける場所は少なそうだ。つぶやきを見る限りではわかりやすい場所には置かれていないようにも取れるので、もう少し奥の方にあるのかもしれない。少なくとも脱衣所より奥にはないと思うが…。

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入れない温泉ほど悲しいものはない

  入れもしない風呂を外から覗き込む自分がいい加減虚しくなってきた。外に目を向けてみると、幅の広い道路を挟んで向かい側は結構開発されているが、こちら側は温泉以外全て田んぼだ。この建物だけがまぶしく光っており、なんとなく違和感がある。さらに温泉の横にあった調整池の看板を見ると、管理者は野々市市になっている。下の写真がそうだ。

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 勘の良い方はもうお分かりかと思う。地理院地図を開いて確認してみたらその答えが分かった。 そう、白山おふろランドがあるのは白山市ではないのである。なぜか道路をはみ出てここの区画だけが野々市市に所属しているのだ。多分海瑠は、というかほとんどの白山市民は気づいていないだろう。確かに名前も白山「インター」店であって、白山店ではない。なるほど卑怯な奴め…。前編でラスパの横に温泉を作る計画が出ていることを書いたが、至近距離にまた温泉を作る理由もこれで納得がいく。要は今まで白山市野々市市に温泉利用客を取られていたのだ。一般的にスーパー銭湯の利用料のうち150円程度は入湯税で、これは地方税だ。つまり海瑠を含む善良な白山市民は気付かぬままに野々市市に税金を納めており、ひとりあたり買い物1500円分の消費税に相当する税金を白山市は失っていることになる。もっと厳密に言えば、消費税10%のうち地方税の割合は2.2%でそのうち市町村の取り分は半分の1.1%だけなので、白山市の懐に入る額で比較すれば買い物15万円弱相当だ。えらいこっちゃ。そりゃ白山市も対抗して温泉作るわな…。まあ入湯税は利用用途限られてるけどね。などと書いていたが,hp見てる感じ満天の湯はどうも温泉ではない可能性がある。雑に言えば引いてきた水が何らかの成分の条件を満たしていれば温泉だ。入湯税は温泉(銭湯として供されているものを除く)にのみ発生するので,そのことを考えるとここはそもそも入湯税を取っていない可能性が高い。最近新規開店するスーパー銭湯は源泉掘って天然温泉アピールしてるところが多いので油断してた。調べた限りではわからなかったけど,実際に入ってレシート見たら分かるんだろうな…。対して今回ラスパに掘ろうとしてるのは温泉っぽいので,入湯税がかかってくることになると思う。というわけで,これまで野々市市に奪われていたわけではなさそうだけど新しくできるやつでは税収を得られそう。やったね白山市

 さて,周りが田んぼなのにここだけ温泉が建っていることについて,どうしてこういうことになっているのか、僕が理解している範囲で簡単に解説しておこう。これは都市計画法が関係している。これはいわゆるまちづくり三法を構成する内のひとつで、郊外の無秩序な開発(スプロール現象)を抑制するために存在する。どんな法律かというと、ざっくり言えば土地を市街化区域(本当はもっと細分化される)と市街化調整区域に分けて、市街化調整区域では建物を建てられないようにするというものだ。これは市町村ごとに定まっており、誰でも見ることができる。参考に白山市のリンクを載せておこう。図の右側中央,南北の広い道路に微妙にねずみ色の部分が進出している場所がそうだ。

http://www.city.hakusan.ishikawa.jp/data/open/cnt/3/6888/1/H271002_matto.pdf

 この図を見れば明らかなように、この場所は野々市市の所属になってる温泉の場所は市街化区域になっているため温泉を作れるのだが、その周り一帯は白山市の所属で市街化調整区域となっているため、建物が建てられないのだ。だからここは田んぼのど真ん中に温泉があるという奇妙な場所になっている。 余談だが温泉の前の道は海側幹線と呼ばれていて、白山インターを経由して海岸の工業地帯を通りながら金沢の先で8号線と再合流するバイパスとして現在整備が進んでいる。今はまだ市街化調整区域だが、今後白山市も市街化区域に変更してどんどん開発を進めていくと思われる、投資しがいのある場所だ。土地境界に起因する盲点を突いた形でスプロール的に開発するのは不満があるが、この土地を見つけて温泉を作ったこの会社はなかなかよく地図を見ているなと思う。

 

イオンモール白山

 お前この期に及んでまだ商業施設行くのかと言われそうだが、ここだけは行っておきたかった。温泉から海側幹線をまっすぐ進んで白山インターに着く500mほど手前の場所にある。それがここだ。

 

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写真が見づらくて申し訳ない…

 どこにも無いじゃねえかというツッコミが聞こえてきそうだ。そう、ここはまだ何もない。ここは将来イオンモール白山ができる場所なのだ。開業は2021年の予定らしい。まだできていないからこそ、その前の風景を見ておきたかったのだ。プレスリリースの記事のリンクを載せておくので、ぜひ確認してみてほしい。

https://www.aeonmall.com/files/management_news/1313/pdf.pdf

 この店舗が相当大きなものであることが理解いただけると思う。総賃貸面積73000㎡と言えばイオン松任店やフェアモールのおよそ2.5倍程度,他の地方の店で言うならららぽーと豊洲イオンモール岡崎,くずはモールキャナルシティ博多,イオン沖縄ライカムなんかと同規模だ(北海道と東北はちょうど同じくらいの規模の店が見当たらなかった)。地方旗艦店クラスの規模だと言って良いだろう。とは言え北陸地方には他により大きなイオンモール高岡(少し大きい)があるし,すぐ近くにもイオンモール新小松(少し小さい)がある。逆に言えば,近くに店舗があるにも関わらず新設したいと思えるほどの立地ということだ。建設予定地は白山インターを降りてすぐ,高速道路からのアクセスの非常に良い場所だ。おまけに現在整備中の下道も地域では主要な道になるということで,将来性が非常にある場所だ。未だに人口増加が続いている白山市側の開発が進むことで,かなりの地価の上昇も期待できる(一般に大型商業施設は建設した土地の地価上昇を前提とした過剰投資をする傾向がある)。新小松は高速道路から遠いことを考えると福井側からでもむしろ行きやすくなる。この福井側というのが重要で,福井は未だにイオンが一店舗も無い唯一の県だ。これは多分過去のいざこざで遺恨が残っているのが原因なのだが(前編で単語だけ出した福井方式に関係する話だ),どうにかして福井県民を呼び込もうという意志があるんじゃないかと考えている。現在はその役割をイオンモール新小松が担っているのだが,高速沿いに設置することでより強化したいという思いを感じる。まあ勝手な妄想だけどね。

 で,わざわざこんな建設予定地まで行くくらいだから,当然僕はこのイオンの建設であたりの風景は大きく変わるんじゃないかと思っている。まず,昨日見てきた3店舗には間違いなく影響が出る。ラスパは今のままで良いにしても,フェアモールとイオン松任は大きく客を取られると思う。もっとも,そもそも現時点で消耗戦になっているような気はするのだが。ここから完全な根拠のない予想だが,僕はイオン白山完成後にフェアモールがMEGAドン・キホーテに,イオンもマックスバリュあたりに転換するんじゃないかと予想している。ご存知でない方もおられるかと思うが,実は現在ユニーはドン・キホーテの(親会社のパンパシフィックインターナショナルホールディングスの)子会社になっている。ユニーファミマが総合スーパー事業をドンキに売り払ったということだ(社名もファミリーマートにしてコンビニに専念している)。というわけで,現在アピタピアゴがMEGAドン・キホーテ Unyというダブルネーミング店に転換されて始めているというのが現状だ。北陸での転換事例はまだないが,少なくとも現状のフェアモールではこれ以上戦うのは厳しそうなので,転換するんじゃないかと予想している。もし本当にMEGAドン・キホーテになろうもんなら風景に与えるインパクトは相当なものになる。だってあの見た目だぜ?一方松任イオンもそろそろ改装が必要な頃合なのだが,こちらは特に西側にあまりスーパーが多くないというのもあって撤退の可能性はまだ低そうに見える。SM機能を残すだけならマックスバリュあたりに転換だろうか。トライアルみたいなスーパーセンターも候補に上がるけど、まだあんまり成功していない感がある。まあどちらも今後10年以内には確実に姿を変えていることだろう。

 また,イオン白山周辺のロードサイドは現在市街化調整区域になっているが,道路の利便性と広さを考えるとここも数年後には開発が始まって工業の誘致でもするんじゃないかという気がする。もっともそれが行われるかどうかはこの地区の完成後に様子を見てだと思うが。経済が右肩上がりならノータイムで開発でいいんだろうけど,あいにく今の日本は縮小していく一方だし判断も難しいのかもしれない。僕が希望的な目で見た限りでは,イオンの反対側は工業団地になり、周辺に宅地開発が進む。

 さて,本筋から離れて長々と書いたけれど,要は一番言いたかったのは「白山市は海瑠が思っている以上に変化している」ということ,そして「海瑠が東京から帰ってくる頃には地元の風景は一変しているだろう」ということだ。この変化をどう考えるかついては旅行記を書き終えたあとでもう少し詳しく考えたい。とりあえず先に進もう。

 

○徳光PA

 意外と時間を食ってしまった。時間は6時半ごろ,あとは徳光PAを軽く眺めるだけで時間になりそうだ。ここから松任海岸まではそう遠くないので正直言って楽勝というつもりでいたのだが,徳光PA松任海岸の西の端っこにあるため実際の距離は3キロくらいある。思った以上に歩いても到着しないのでだんだん焦り始めた。入り口の松任海浜温泉に到着したのが7時20分,もはやタイムリミットまであと1時間20分しか残っていない。海浜温泉が朝風呂をやっていることは知っていたのだが当然そんな時間はない,と思ったら工事のため休館だったらしい。ある意味怪我の功名だ。

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入れない温泉ほど虚しいものはない(2回目)

 ようやく徳光PAだ。8時40分の電車に乗ることを考えたら40分には出たい。あと20分しかねえよ。とりあえず歩道橋で北陸道を跨いで下りに向かう。PAだけあって小さな設備だ。ここに来てようやく思い出したが,自分はかつてここに来たことがある。もはやいつだったかは覚えていないが,車で新潟の山に行ったときに北陸道を使ったことが何度かあり,たしか一度真夜中にここに来て海に降りたことがあったはずだ。あの時は真っ暗で何も見えずすぐに撤退した記憶がある。

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かっこいいね

 とりあえず施設内に入る。やっぱり御在所と比べるとだいぶこじんまりしている。目の前にちょっとした売店があって残りはフードコートだ。二階に上がって食事もできるそうだが、まだ開いていなかった。焦っていたのでろくに中の見物もせずに出て、とりあえず階段があったので上がった。

 等身大パネルまだあるじゃねえか!! カーテンの隙間から微妙に見えていた。が、まだ掃除中なので入れない。なんだか檻に囚われてるみたいだ。いや、入りたくても入れないという点では囚われているのはむしろ自分の方かもしれない。ていうかそれ以上に時間に囚われてるんだよな。

 

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おいそこを開けろ

 入れないものはどうしようもないので、仕方なく階段を降りてちらっと海を見に行く。砂浜を踏むのはいつ以来だろうか。この砂の多くは手取川を経由して白山から運ばれてきたものだ。砂浜の保護のためだろう、離岸堤がいくつも配置されている。土砂投入はしていないらしい。海岸線後退の問題は日本中どこも同じだ。

 

手取川と砂の話

 大いなる脱線。興味ない人は読み飛ばしてくれ(結構長いよ)。

 さっき徳光の砂の多くは手取川由来だと書いたが、手取川は昔から暴れ川として知られており、しょっちゅう下流に災害をもたらしてきた。手取川は白山を水源としていて山と海の距離が短いということで、勾配が非常に急な河川になっている。地理の教科書なんかに世界の河川の勾配図が載っているが、自分が今まで見た限りでは日本の川はだいたい利根川常願寺川が載っていて、日本の河川は急勾配だという結論になっている。その中で常願寺川だけが異常な角度になっているのを覚えている方もいるんじゃないだろうか。実は手取川常願寺川の陰に隠れているが、同じくらい急勾配だ。この地形に日本海側特有の降雨の多さが相まって、しょっちゅう洪水が発生している。1934年には100人以上の死者が出た洪水もあったそうだ。一方砂はというと、白山は火山なので噴火による不安定な土砂が多い上に急勾配ということで、土砂も非常に多く流れる。単純に考えれば土砂の生産量は地表の表面積に比例するので(実際はそんなことないんだけど)、後背地に高山を抱える川で多く土砂が出てくることは理解できると思う。手取川でも白山砂防の名の下で上流では大規模に砂防工事をやっている。しかし常願寺川流域はもっと知名度の高い立山砂防を抱えていて白山砂防は陰が薄い感がある。なんだか手取川が不憫に思えてくるな。で、白山から出てくる大量の土砂が松任海岸や、もっと先の羽咋の千里浜(車で走れる砂浜として有名だ)なんかを形作っている。何が言いたいって要は松任海岸は手取川が作っているってことですよ。PAの目の前の砂浜の砂の一粒一粒に手取川を感じろ。

 で、離岸堤の話に戻ると、最近はダム造ったりとか土砂災害が減ったりとかで土砂が流れる量が減ってるので、海岸の砂の供給に対して波にさらわれて出て行くほうが多くなって海岸の砂が少しずつ減っている。何が起こるかというと、海岸線が後退して日本の領土が縮小する上に災害に対して脆弱になる。波による侵食を防ぐために離岸堤は設置されているというわけだ。見た目には良くないものだけど、ちゃんと意味はある。

 

○迷走

 話を戻す。海岸を眺めて15秒くらい上のようなことを考えたのち、橋を渡って次は上りPAを見に行った。ちなみにこの時すでに7時40分である。建物の作りはこちらの方がしょぼいなあと思いながら1分くらい眺めて撤収。いや時間がないんだよな。しかもここに来て腹を壊した。ネカフェでアイス3杯食ったのが良くなかったか。ああ時間が足らん。

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入り口にあった

 急いで戻りながらも、一縷の望みをかけて高速バスのバス停を眺めてみた。ひょっとしたら何かいい時間のバスがないかと。そして……本当にあった。9時21分発大阪行きJRバス。てっきり大阪行きの高速バスは阪急バスしかないものと思っていたのだが、JRもやっていたらしい。お前はイオンの新規開店情報は見つけられるても高速バスは見つけられないのか。 とはいえこれにもまだ問題はあった。まず、時間の問題。京都到着時刻は13時過ぎで、バスが10分遅延すればその後の予定に遅刻する。これはまあ最悪遅刻したら仕方ない。しかひさらに重要な問題は、予約しなければならないということだ。近くに窓口おろかコンビニすらない。残された手段はネットでの申し込みだが、会員登録とかが必要な上にいつまで受け付けているのかもわからない。

 結局、選んだ結論は二面作戦。駅まで早歩きしながら会員登録を進めるということだ。グーグルマップで出した駅までの最短ルートを頭に叩き込んで、あとは一生歩きスマホ。危険なのでやめるべきだが、徳光は平和なので大通りを外れれば交通量はほとんどない。そして悪戦苦闘すること25分、バスの予約に成功した。めでたしめでたし。

 

 なんと1時間も余裕ができてしまった。これで他にやりたかったことができる。とりあえず、近くの学校の通学風景でも見に行くことにした。お目当は自転車通学の学生で、学校指定のヘルメットを被っているところが見たかったのだ。2ndシーズンまでに言及されなかったのが不満なのだが、僕の中で手取川海瑠は完全に学校指定のダサいヘルメットを被って登校しているということになっており、それなら海瑠はそのヘルメットのデザインに対する不満を話すと思うのだ。いや絶対海瑠はダサメットで通学してほしいしそのことに対する不満を喋ってほしいでしょ。願わくば3rdシーズンでしゃべってほしいけれど、もう東京に行っちゃうんだな…。で、実際いた。白のデザイン性のかけらもないメット。思い描いていた通りの絵面だったので完全に満足した。ダサメットを被ってチャリで爆走して横をかすめていく海瑠の姿が見える見える。今回の旅行で一番質感濃度が高かった。平日朝に徳光に行く人には絶対にお勧めしたい。これは余談だが、僕は海瑠は特に急いでいなくても全力で自転車を漕ぐタイプだと思っている。ちなみにガルラジ登場人物の中だと他にこのタイプに当てはまるのは二兎春香だけだ(勝手なイメージだが…)。皆さんはどう思いますかね?

 田んぼの向こうを眺めると同じような見た目の家が並んでおり、明らかに新興住宅地だと分かる。千代野ニュータウンと呼ばれる場所で、70年代に造成された石川県内最大のニュータウンだ。ここだけでなく、駅の南側(ラスパ周辺)もそうだ。やはり、来る前に思っていた以上に白山は町として新しい。海瑠がどこの学校に通っているのかは知らないが、いずれにしても案外昔から白山市に住んでいたという同級生はそれほど多くないのかもしれない。

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左の方の住宅街だが、わかるだろうか?

 

○徳光町

 地図を見ると、徳光PAのすぐ向かいに住宅密集地があるのがわかる。道路の形状などからして明らかに昔からある集落だ。PAに戻る前に、ここに寄っていくことにした。 ここははじめから時間があれば寄ろうと思っていた場所だった。理由はいくつかあるのだが、最大の理由は吉田さんはこのような古くからある土地の生まれではないかと思っているからだ。理由は非常にシンプルなのだが、吉田さんの家が大工だからという理由に尽きる。大工にもいろいろあるが、娘が墨出しを手伝っている時点で地元の小さな家大工で、個人事業主かせいぜい社員数人の法人とみて良いだろう。だとすると、吉田家は大工の家系で昔から白山に住んでいたんじゃないかと想像できる。昔から住んでいるとなると、引っ越しをしていなければ昔からある町に住んでいるはずである。

 地理院地図では古い航空写真も見れるが、やはり徳光町は比較的歴史があって地域の中では大きめの町だったようだ。実際歩いてみると古そうな住宅が多く、落ち着いた雰囲気がある。通りにあった八坂神社にあった看板を見るとその由緒は永延元年(987年)にまで遡るらしく、本当に古くからある町のようだ。都会の人間が田舎という単語を聞いて想像する風景としては、これまで見た国道沿いの風景よりもこちらの方が近いだろう。なおマルフクの看板は見当たらなかった。

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○徳光PA その2

 ひととおり巡ったので、またPAに帰ってきた。残る時間はあと30分だ。ひょっとすると等身大パネルがあった2階が空いているかもしれないと思って下りに行ってみる。中に入ってみると階段の封鎖が解かれていたので、徳光うどんを頼んで持って上がった。

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リベンジ成功

 というわけで、等身大パネルを拝むことに成功した。やはり直前だろうが遅らせられる行程は遅らせるべきだね。まだ8時ということもあって、2階には誰もいなかった。小上がりの等身大パネルの横に陣取ってうどんを食べる。実は油が浮くのでかき揚げうどんはそれほど好みではない(別々で食べたい)のだが、かき揚げはなかなかうまかった。カウンターの向こうにはモニターが置いてあって延々と8番ラーメンのCMなどが流れていたのだが、子供が謎の踊りを踊っていたりとなかなか中毒性が高い映像だった。このカウンターのスペース周辺がラジオブースになっていそうな雰囲気がある。

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 1階に降りてお土産コーナーも確認してみる。が、僕の荷物はもはや満杯であった。かろうじて買えそうなものということで、白山市で製造されたもみじこの缶詰を買った。かつて日記に書いたこともあるが、僕は友人たちと缶詰会と称して旅先で買った怪しい缶詰を食べる会を年1くらいのペースでやっているので、その時にでも消費したい。ちなみに缶詰は非常に塩分が多く身体によくないので、缶詰ばかり食べる会はあまりやらない方が良い。

 

○お別れ

 そろそろ時間だ。橋を渡って上りに戻る。上りでももう一度中を見渡してから、停留所に行く。待つこと10分ほど、数分遅れでバスが来た。このバスに乗って数時間経てば京都だ。帰るだけの自分にとってはあまり感慨というものもないが、確かに夜にこの寒くて静かな停留所からバスに乗って、目を覚ましたら渋谷だと思うとなかなか感じるところもあるだろう。座席は最前列で、前が見えて楽しい。手取川を過ぎたところまでは覚えていたが、いつのまにか寝てしまった。目が覚めると京都。遅延もなく、結局この後の予定には間に合ったのだった。

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上り

 本当に駆け足だったが、一応白山市を回ることはできた。でも、まだまだ行けていない所もある。結局CCZにもおふろランドにも入れなかったし、駅周辺は結局探索できなかったし、ショッピングセンターだって遅かったから多くの店が閉まっていた。ちょっと遠いが手取お魚パークにも行きたい。これから白山イオンの建設も進むだろう。

 また来てやるこんな町。

 

○総括

 自分が訪れた白山の町は、予想していたものとは少し違った。はっきり言って、もっと田舎だと思っていたのだ。僕の感覚では、これは田舎というより郊外だ。でも、海瑠がこれを田舎だという気持ちも分かる。いずれにせよ、実際に行って徳光に対する認識は少し変わった。

 しかし、少しイメージと違ったところはあっても、彼女たちの生活の一面を感じられるような場所は確かに存在した。また、その存在感のおかげで普段なら考えないようなことを考えることもできた。我々の時間と同じスピードで変わりゆく彼女たちの姿を追い、同じスピードで変わりゆく町の姿を眺める。町の中に彼女たちが過ごした面影を見て、彼女たちが今後過ごす町の未来を予想する。そんな楽しい旅行だった。

 

 

 この後、補足として商業施設と都市開発のこと、今回の旅行を経て修正した海瑠と吉田さんについてのコメントなんかを書く予定だが、時間がかかりそうなのでとりあえず公開しておく。

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バスの中から見た手取川と白山。