焚き付け

主に日記を書く

ハドリアヌスの長城

 6月〜8月までの日記を3ヶ月分まとめて書くことにする。夏に3ヶ月となると相当長い気もするが、イギリス旅行分は別記事にまとめてあるので、まあこれくらい一気にまとめてしまってもよいだろう。あまり日常で何かあった記憶はないので、さっさと内容に入ろう。

 

○峡西

 福井の嶺南嶺北と違って山梨の峡東峡西はあまり知名度がない印象がある。峡というのは地形的に狭まった場所であろうが、おおよそ盆地にはあまり似合わない単語である。富士川は確かに鰍沢より下流では狭まるが、少し下流過ぎないだろうか。

 そんなことはどうでも良くて、峡西に行った。具体的に言うと南アルプス市。今回の目的はすももだ。桃の影に隠れてマイナー寄り果物ではあるが、地味にこの辺りが日本で最も生産量の多い地域である。この年はすもも重点投資ということで、行ったことがないこともあってこの辺りを選択した。

 往路は竜王駅からスタートし、川を渡って白根へ。すももは割とマイナー寄り果物なのでどこに行けば買えるのかもよくわからず、適当に歩く。あたりの農園はさくらんぼと桃がメインのようだ。畑には結構植わっているのだが、どうにも直売をやっている場所がない。かろうじて産直的なところでいくみを手に入れたものの、後が続かない。そうこうしているうちに夜になったので、さくらの里で温泉に入り、そのへんの中華料理屋で晩飯にして田富の快活で寝た。

 翌日。この日も同じエリアを引き続き探索。中野の棚田がなかなか良かった。その後粘り強く歩き、収穫作業をしている人に話しかけて売ってくれと言ったらタダでもらえたりしたおかげで、最終的にはレッドビュートなども手に入れることができた。要は澄んで疲れたこともあり、まほらの湯に入り、昼過ぎには山梨を離れた。

 すももはメインではないので、意外と探すのが難しい。白根エリアだからと言って施業でやってかつ即売所まで有するところはあまり無いようだ。今回は農家の人に(市場に卸せないものが多いとはいえ)無料で譲ってもらったこともあり、少々心苦しい。やはり桃とセットで探すくらいが良いのだろうか。

 

〇火祭り

 新宮にKが住んでおり、大挙して那智の火祭りに行った。那智大社で7月にやる例大祭で、扇祭りなどとも呼ばれている(というか、扇祭りが正式)。

 ちょうどこの祭りはイギリスから帰った次の週末にあたる。開催が金曜日だったので、この日は休んで木曜夜に京都に移動、そこから車で新宮に向かった。

 金曜はさっそく祭りへ。朝のうちに那智大社に到着し、場所を確保してからうろうろし、時間になったら見物。ダイナミックさはそこまでないのだが、巨大な松明を持った行列は圧巻で、こちらまで熱気が伝わってくる。やはり火は良い。太陽と並んで信仰に値する。祭りの最後は神様的な仮装者が言祝ぎながら下の方をぐるぐる回っていて、よく分からないがなんとなくハッピーな気持ちになった。

 

 終わった後は浦島へ。前はなかった温泉むすめのパネルが設置されていた。確かに広くてテーマパーク的なのは良いのだが、結局服を着て動かないといけない箇所が多いのと湯は変わらないので1500円は高いなあと思わなくもない。それよりも近くのゆりの山温泉などがあまり知名度が無いながら実は圧倒的に優れたぬる湯であり、こちらを勧めたい。

 翌日は那智勝浦で朝からまぐろを食い、太地でイルカを眺めたり釣りをしたり(大して釣れなかった)。太地のスーパーで鮮度の良い二ザダイが80円とかだったので試してみたのだが、確かに臭みはあるものの味はかなり良くてこれは良い発見であった。これで臭いさえなければ真鯛を超す素材なのだが…。日曜も那智勝で競りを眺めてマグロを食い、仲氷店などいつもの場所に寄ってから特急で帰った。思えば新幹線特急乗り継ぎは廃止されたので、これが最後の機会だった。まあ新幹線はあまり乗ってこなかったので利用経験自体ほとんどないのだが。

 いつも沢の終わりで体力がないのでスルーされるが、南紀は良いところである。アクセスはカスだが。那智の火祭りだけでなく、冬には神倉神社の火祭りもある。こちらは装束さえ持っていれば参加できるねぶたタイプなので、ぜひ参加したいものである。このエリアに行っていつも思うのは、インバウンド割合の高さだ。日本人が遠くて寄り付かないというのもあるのだろうが、やはり世界遺産パワーなのだろうか。やはり場所は悪いが相当なポテンシャルを秘めた場所である。

 

〇馬追

 東北祭りシリーズの一角、相馬野馬追に行ってきた。東北の夏祭りは南から順次始まっていくので、これがその先陣となる。祭りは三日に分かれており、初日は草競馬、2日目は神旗争奪戦という馬に乗って投げ込まれた旗を奪い合うもの、3日目は野馬を追い込んで捕らえるイベントがある。

 行きはは18きっぷで福島まで移動し、桃を買ってからバスで相馬へ。結構人が乗ってくるのものかと思ったがガラガラだった。現地で当日券を買い、会場へ。そのへんの路上でも騎乗でうろうろしている武者姿の人がいたり、馬用の水飲み場が至る所にあったりでなかなかテンションが上がる。会場に入って競馬を見るが、本番は神旗争奪戦であり、かつとんでもない暑さだったのであまり参加者はいなかったようだ。草競馬を見るのは初めてだったが、これはこれで結構迫力がある。夜には軍議があったり盆踊りがあったりして結構イベント豊富だ。天気があまり良くなく夕立もあったため、ひとしきり見終えてから大河原に移動して快活で就寝。

 

 翌日。朝から各地区で出陣の儀的なのをやっていたので見に行く。軍師の家に武者が次々に訪れては口上を述べて酒などをもらっていた。結構大変そうだ。その後、大通りに移動して、会場に入る各郷のパレードを眺める。これはかなり壮観だ。その後全員が会場に集結し、神旗争奪戦が始まる。結構落馬もあったりで危険なイベントである。場所がちょっと遠いのでそこまでの迫力はないのだが、まあそこそこだ。ていうか暑すぎる。熱中症になる人が武者観客馬を問わず続出していた。それもあって、2024年からは時期をもっと前倒しで開催するようになったようである。

 

 3日目はどうせ見れないので、ここで切り上げて帰ることにする。少し時間があったので、大甕のセコマに寄ったり灯台に行ったりした。晩飯は乗り換えの柏で珍来に行って食べたが、この日は柏も夏祭りだったらしく、人が多くて大変だった。

 相馬野馬追は東北の祭りシリーズの中では異色の存在であるが、相当迫力がありユニークなものでもあるので、特に勧められる。立佞武多、竿燈まつりと並んでtier1に挙げておく(他にここに入りそうなねぶたは夜未観覧)。今は時期が早くなってしまったので18きっぷでは行けないが、まあ馬や自分たちのことを考えると仕方のないことだろう。

 

石巻

 18きっぷを使うのにどこに行くかとなっていたのだが、花火大会にでも行こうかと思ったので石巻まで行ってきた。わざわざクソ遠い石巻にしたのは理由があって、まずは花火大会を選ぶときに自分が最も重視している打ち上げ場所周辺のキャパシティ。これは広ければ広いほどよい、というか狭いところは人が密集するので行かない。実質的には、広い河川敷か海岸が候補になる。もう一点は、花火だけでなくブルーインパルスの展示飛行とドローンショーもやっていたことだ。どちらも一度も見たことがなかったのでこれは丁度良い機会ということで、わざわざ石巻まで行くことにしたわけである。

 石巻は仙台のさらに奥なので、行くだけで時間がかかる。早朝に出て到着したのは15時。花火に先駆けて祭りをやっており、この時点で人も多く賑わっていた。混雑したイオンで昼飯を買い、散策。ステージでは影山ヒロノブっぽい人が歌っていて、多分本人だと思うのだがなぜか自分でもわかる超有名曲は聞こえなかった。

 そうこうしているうちにもう夕方なので、会場に行って良さげな場所を確保する。河川敷の土手の向こう側だったのだが、広大な空き地だったので快適だった。ほどなくしてブルーインパルスの展示飛行が始まる。アクロバットより普通に整列飛行しているところのほうがかっこいいなと思った。その後日が暮れてくるとドローンショーが開始。よくわかっていなかったのだが、ディズニーの演目だった。ディズニーが主催しているんだろうか。空中に巨大なネズミが形成された瞬間、あまりに光景がアメリカ政府のによる支配に見えたので、拍手している周りの観客を尻目にひとり爆笑してしまった。その後、満を持して花火。たしか1万発程度と規模はそこそこ。取り立ててここがすごいというのはなかったが、そういうのを求めていたわけではなかったのでこれでよい。ストレスなく近くで見られることが重要だ。まあこれらの中ではドローンショーが一番良かったか。しかしこうして3つも見られて非常に満足できた。終わったあとは近くの台湾料理屋で晩飯を食べて、塩竈まで出てそのへんで寝た。


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 翌日。朝起きてとりあえず魚市場を眺めてみたが、あまりに早かったのでまだほとんどどこもやっていなかった。待つ気もなかったので、さっさと仙台に戻って半田屋で朝食にした。仙台は七夕まつりの準備真っ最中で、商店街でも飾りを上げているところだった。

 少し散歩したあと駅に戻って移動し、桑折へ。街をうろうろしつつ、適当な店で桃を購入した。その後は南下して宇都宮へ。いつまでも放置している県庁横の基準水準点を確認しに行った。この日は宇都宮も祭りだったようで、大通りで山車を回していたのでなんとなく観覧。途中で夕立が降ってきて大変そうだった。その後帰宅。

 特に総括するほどのこともないが、石巻まで行くとなかなか遠い。と言っても、関西と変わらないのだが…。というか、関西が遠すぎる。いい加減関西に18きっぷで行くのをやめたい。それは置いといて、今回はリサーチがうまく行ったパターンで、花火以外にも色々見られたのが良かった。ブルーインパルスもドローンショーも花火より珍しいイベントなので、二枚抜きは結構価値がある。ドローンショーは現代を感じられるので、機会があればぜひ見られるとよい。これらを続けて見ると、ちょうどドローンと戦闘機が対照的な性格を持っていることに気付かされる。高価な少数の戦闘機を人間が操作する一方で、ドローンは安価、大量、機械制御というのが両演目を見ると一目瞭然だ。どちらがというのは置いといて、時代の過渡期だなと思う。

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○北信

 恒例になりつつある北信シリーズ。今回は湯田中でも渋でもなく、その横の角間という小さなエリアに行った。やはりこのエリアは良い温泉が多い。

 いい加減このエリアで観光するところはなくなってきているのだが、今回は小布施ハイウェイオアシスとその横の公園に行った。ハイウェイオアシス内の農産物直売所は意外と優秀な価格と品揃えだったので覚えておきたい。公園の方も結構きれいだ。まあ徒歩でもう行く機会はないと思うが…。あとは中野の原信など細々したのを拾い、果物だけ買ってから早いうちに宿に入った。角間は標高が高いエリアなので行くだけでちょっと大変なのだが、構成する3軒の宿がいずれもひなびた雰囲気で、温泉街としてのランドスケープが非常に良い。今回泊まったところは風呂が3箇所あり、さらにもちろんこの地方特有の共同浴場もある。付近は本当に何も無いが、風呂に入っているだけで時間が過ぎた。f:id:snwchkrn:20240826222434j:image
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 翌日はそのまま長野に出て仕事へ。久々に昼飯でいむらやに行った。前に行ったとき歯の詰め物が取れて以来だったのだが、何もなく完食。最初はなんだこれはと思っていたが、回を重ねるごとにだんだんこの味が好きになってきた。そういう意味ではソウルフードと言うにふさわしいかもしれない。その後帰宅。

 角間温泉湯田中と渋に隠れながら非常に良い場所であることがわかったので、今後も空きがあれば積極的に狙っていきたいところだ。駅から遠いし周りに何も無いが、温泉だけはあるのでそれでよい。横の自販機でジュースを買うだけでなんとなく幸せな気持ちになれる。わざわざこんな記事を見に来るような奇特な方々にはぜひとも勧めたい場所である。

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 それ以外のこまごましたイベントだと、急に集まって浅草でもんじゃを食ったりとか、京都で人捜しをしたりとか、なんやかんやあった。これに加えてイギリスもあるので、結構いろいろやった夏になった。この時期は収穫が始まって一気に楽しい季節になるので、行きたい場所が多く困る。本当は毎年通いたいような場所もたくさんあるのだが…。