焚き付け

主に日記を書く

永遠の七日を振り返る

 終わらない終末が始まる―

 

 永遠の七日というソシャゲの話をしたい。昨年5月8日にリリースされて、ちょうど1周年に当たる作品だ。非常に面白かったので是非やっていただきたい。

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 …と言いたいところだが、ひとつ問題がある。それは既にサービス終了したということだ。ついこの前の4月27日、配信1周年を目前にしてその物語はこの世界から消えてしまった。

 まあタイトルを見ればそれくらい分かっていることだろう。しかし、もうひとつ重要なキーワードがある。そう、サ終したのは日本版だけで、中国の本家はまだ生きているのである。もし気になった方がいれば、是非とも中国版をインストールしてプレイしてみて欲しい。

※5/15ごろ追記 耐えきれなくなったので中国版を始めた。中国語が読めないので詳細がよく分かっていないのだが、現在偽アントネーワ(?)のイベントをやっているので日本版をやっていない人も辞めてしまった人もみんな始めよう。

 

 

 

目次

はじめに

 わざわざこの記事を見る人にはあまりいないと思うが、一応未プレイの人のために簡単に説明する。永遠の七日、通称トワナナは中国のNetEase(荒野行動とか第五人格とかを運営している大手)が制作し中国などで展開するソシャゲで、日本ではDeNAが運営していた。サービス開始は2019年5月8日、終了が2020年4月27日なので、ぎりぎり1年もたなかったというところだジャンルは「マルチエンディングRPG」となっており、プレイヤーの選択次第で変化する7日間のストーリーを繰り返すというものだ。

 

 物語はこのような問いかけから始まる。「初めての見たはずの場面で以前もこんなことがあったような気がすると感じたことがあるか?」「既視感は脳の錯覚と言われるが、本当にそう思うか?」それぞれの質問に対して選択肢で回答できる。なんやかんやあり、最後に謎このような問いかけでプロローグは終了する。「体験したことが真相なのか?」「忘れたことが記憶なのか?」「思い出してみよう この世界が滅ぶ前に」

 

 簡単にストーリーを述べておこう。物語は病院でプレイヤーが突如目を覚ますところから始まる。なぜか7日間のカウントダウンの数字が見える記憶を喪失したプレイヤーは、異世界からの生物の襲撃にさらされている都市で終末までの7日間を過ごすという物語になっている。この世界では異界の生物と交戦できる力を持った存在である「神器使い」が存在し、プレイヤーは神器使いの能力を高めて異界との接続点である「黒門」の核である「黒核」を浄化できる「指揮使い(読み方は隊長)」の素養があることから、異界と戦う機関である「中央庭(ちゅうおうちょう)」にスカウトされることになる。そして7日間を終えると(現状では)どのようなエンディングを迎えてもプレイヤーは必ず死亡し、また物語は残り7日に戻るという循環的な構造となっている。

 未プレイの方はとりあえず以下のリンクにあるOP映像を見てもらいたい。日本語の曲だが、歌詞がだいたいこの作品の世界観を表していると言って良い。Youtubeの公式動画は削除されてしまったのでbilibiliのものを貼っておく。気になった人はほかの動画も見てみて欲しい(ネタバレも満載だが)。藤田茜さんがやってる日本語の公式ラジオもあるぞ!(こちらもネタバレ満載な上にあまり作品について触れないが…)

https://www.bilibili.com/video/BV1ox411j7js/?spm_id_from=333.788.videocard.5

 

 前置きはこの程度にして、本文に入っていこう。まずもう少し具体的にシステムとストーリーについて書いておく。その後終末ソシャゲとしてのレビューをして、続けてプレイ日記と感想、最後にそれ以外の雑文という構成で書いていこうと思う。基本的にプレイ済み前提としてネタバレも不可避として書いていくが、最低限に留めたいとは思っている。気になったらこんな記事はさっさと閉じて中国版でも韓国版でも始めてくれ。

 

○もう少し詳しいシステムとストーリー

 まず、記録として残しておくことも兼ねて、ゲームシステムとストーリーをもう少し詳しく書いていく。特に興味ある人以外読み飛ばしてもらって構わない。

 作中ではさまざまな場面で選択を迫られ、選んだ選択肢、あるいは取った行動によってはストーリーが大きく分岐する。選択次第で特定の大きなルートに分岐し、さらにそのルート内でもいくつかのエンディングがある。基本的に1週目に選ぶことになるいわゆるノーマルルート以外(実は他のルートにも行けるのだが…)は特定のキャラクターに関連した物語になることが多い。

 作中の1週間が終わるたびにストーリーは最初に巻き戻され、同じストーリーが再び始まる。引き継がれるのはプレイヤーのレベルと所持している神器使いと装備、それにサブコンテンツの進度だけで、町の発展度合いや神器使いの好感度(後述)などはすべてリセットされる。ちなみに下のスクショが最初にプレイヤーが発する言葉である。なので毎周見ることになる。

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 1日は午前9時から午後9時までの1時間ごと、合計12時間に区切られ、何らかの行動をするごとに1時間を消費する。これを7日分、つまり84回の行動で一つの物語が完結するというわけだ。行える行動は4種類あり、それぞれ戦闘、巡回、建設、開発である。

 戦闘は文字通り。都市は合計8の街区に分かれており、街区を開放するために戦闘が必要になる。当然ながらストーリーの進行上必須であることが多い。3周目以降は戦力が十分であれば、前週以前で経験したことがある戦闘をスキップできる「制圧」も可能になる。戦闘は最大3神器使いまで出撃できるアクション形式となっており、プレイヤーは神器使いを操作し、指揮使いそのものは参戦しない。画面(横持ち)右下のボタンをタップすることで攻撃が行え、通常攻撃と各キャラ固有の3種類のスキル(クールタイム付きで再使用可能)を駆使して進んでいくことになる。ちなみにスキルのうちひとつは発動時にカットインとボイスが入る(スキル使用時以外でもキャラはよくしゃべる)。所要時間はマップによるが、最大で5分程度だ。

 神器使いの能力はランクによって固定値となっており、レベルの概念は装備にだけ存在する。ランクはガチャのキャラ被りやサブコンテンツ、ポイントの交換などで手に入るアイテムを使って上昇させることができ、課金しなくとも好きなキャラを最高ランクまで上げるくらいは十分可能である。装備はゲーム内通貨を使って強化でき、レベル最大値が自分のレベルとなっている。また装備にはランクがあり、装備を4個投入することでランダムに1個をランクアップさせることができるという仕様になっている。また装備とは別にステータスを強化するアイテムも存在する。ちなみに周回が増すごとに敵も強くなっていくので、神器使いや装備を強化しておかないと後半はかなり戦闘の難易度が高くなることに。

 巡回はイベントを発生させる行動だ。最大3キャラで行える。ストーリー上必須のイベントもあるし、キャラストーリーや特に意味のないイベントも発生する。神器使いはそれぞれ好感度が設定されており、戦闘に参加すると1、イベントの発生しない通常巡回で4上昇するのだが、好感度に応じてキャラストーリーが進展する。ストーリーを最後まで見ると神器使い攻略となり、攻略済という記録自体は周回を超えて残ることになる。

 続いて建設開発。こちらも最大3キャラで行う。まず建設について、要は各街区に施設を建てる行動である。まだ説明していなかったが、都市には「幻力」「諜報」「技術」のパラメータがあり、詳細は省くがこれらを上昇させるための施設であったり、その他イベント上必須だったり進行を有利にする施設を建てることができる。また1街区に建てられる施設には上限があり、これを増やすのが開発である。

 1週間84回の行動をこれらに割り振って過ごすわけだが、各ルートには目標が設定されており、その目標達成に向けた行動をしていくことになる。たとえばノーマルルートでは、街区を開放して黒核を浄化することが目標となる。ルートにもよるが意外と時間制約はシビアで、初見では達成が難しい場合も多い。これら84回の行動を終えた後、残り0日に最後の戦いがあり(無い場合もある)、その結果やその後の選択によってエンディングがまた分岐する。毎週でどのエンディングを迎えたかはすべて記録され、後から確認できるようになっている。また、ストーリーの随所やエンディングで背景に用いられるCGの記録も周回を超えて残るため、これがコンプ要素になっている。ちなみに日本版ではエンディングは17あり、本土版はもっと多い(現在も追加されている)。

 

 ゲームシステムはこんなもんだろうか。あとはサブコンテンツについていくつかあっさり目に書いておく。以下は全て日本版についての情報だ。本土版はもっとあるようだがよくわかっていない。

 まず資質試験。24時間に1回挑戦でき、キャラの装備枠のコストを上昇させるのがメインの役割となる。こちらは3段階に分かれている。選んだキャラについてまずは全キャラ共通の9種類の課題の中から4種類をクリアするというものがある。キャラによっては確実にクリアできない課題もあり、純粋なキャラの特性を知っていれば突破できるようになっている。その後実戦形式の戦闘が10回ありここまで終えれば一段落で30分くらいはかかる。その後にさらに最終試験という続きもあるのだがこれはやっていないので分からない。

 続いて時空乱流。これはプレイヤーで協力して敵を倒すというコンテンツで、作中で唯一他人と一緒に戦える場所である。1日に2回時間限定のものも開催されていた。突破すると影装(装備)が手に入る。…のだが、自分が始めたころにはほぼ誰もやっておらず、一度もマッチングできたことはない(マッチングに時間がかかると謎のNPCが参加する)。

 それから記憶殿堂。これは特定のキャラやキャラ固有の衣装が手に入る。基本的には10回戦うだけである。どうしてサブコンテンツとして別の場所に置いたのかはよく分からない。

 最後に万神殿。これは主にキャラの強化アイテム(装備とは違う)が手に入る。1日3回挑戦できる挑戦の間と無限の間というのがあり、どちらも基本的に戦闘である。自分はあまりやらなかった。

 サブコンテンツはこれで以上だ。結構いろいろあるが、基本的にスタミナ回復の手段がない作品のためメインストーリー外で毎日時間を消費するコンテンツを作ろうとしたというのが主な設計理由だと自分は考えている。

 最後にガチャ回りについて。基本的に無償石(オパール)と有償石(ダイヤモンド)は区別され、衣装など有償石でしか買えないものも結構ある。オパールが7個またはダイヤ(個数忘れた)で単発を引くことができ、キャラまたは装備が排出される。6連で回すこともできるが、特にメリットは発生しない。オパールは作中の1日ごとに3個もらえるほか、ログボなどでも手に入り、ガチャ以外にもランクアップ素材などに交換することもできる。他にフレンドがいると毎日もらえるタイプのポイントもあり、こちらで回すガチャもある。こちらは毎日1回無料で時々キャラが出ることもある。 

 

 

○終末レビュー 

 それではいつも通りレビューをやっていこう。今回は28日間プレイし、18周回したのでいつもよりはしっかりしたレビューができると思っている。以下、コンテンツ的に良かった点悪かった点を述べていく。折角なので、たくさん撮ったスクショもぺたぺた貼りつつ進めていく。

 

ストーリー

 ストーリーこそトワナナの肝と言って良いだろう。本土版より圧倒的にルート数の少ない日本版ですらテキスト量は100万文字を超える。ストーリー最大の売りは、周回を前提としたシステムが可能にする重層性だ。7日間の過ごし方の違いで物語は様々な面を見せ、異なった結末を迎える。最初はどうなってるのかさっぱり分からない世界が、様々なストーリーをたどるうちに新たな一面を見せるようになる。プレイヤーは中央庭につくこともできるし、敵方に寝返ることもできる。そうしないと見えてこない一面だってある。またあるキャラクターに焦点を当てたストーリーも存在する。これらの辿りうる全ての7日間が凝縮された深みはほかの作品では(特にソシャゲでは)なかなか出せないものである。また日本版では56人の神器使いが登場したが、その全てにキャラストーリーと攻略時の一枚絵が用意されている。これについてはキャラクターの項目で述べよう。あとはプレイ日記の後でいくつか印象に残ったストーリーを書いておくので、未プレイでちょっと気になっている人は覗いてみて欲しい。

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 概要からも分かると思うが、ストーリーは全体的に重めである。あっちが立てばこっちが立たぬで救えない人はいるし、最後にはプレイヤーも必ず死ぬ。7日あるんだから3日くらいは平穏な話だろうと思っていると大間違いである。自分もそう思っていたのでかなり驚いた記憶がある。そんな物語だが、ただ重いというだけではない。避けられない終末という運命の中で、全てが救えないとして何を救うのか。周回を重ねるごとに、物語を深く知るごとにこの問題は重くのしかかってくる。終末が定められているからこそ、そこに生きる人々の物語が美しさを増す。

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 さて、基本的にはそんな物語なのだが、ひとつ例外がある。永遠の七日には、この大きな物語に参加しないという方法も用意されているのだ。プレイした中で、このストーリーの存在が最も衝撃的だったと言って良いかもしれない。これについては印象に残ったエンディング「二人の街/記憶の種」で紹介する。

 とりわけストーリーは何を言ってもネタバレになってしまうためあまり踏み込めないが、なんとなく魅力は伝わっただろうか?もう少し詳しく見たければプレイ日記を参照されたい。

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 さて、ここまで良いことばかり書いてきたが、悪い面についても書かないわけにはいかないだろう。性質上同じ場面を何度も見なければならないという点である。これはループする7日の物語というこの作品最大の特徴がもたらす負の側面と言えるだろう。確かにストーリーは分岐する。しかし、分岐するまでは全く同じ会話を見ることになるし、分岐したとしても同じ場面を見ることだって結構ある。自分はあまり気にしなかったが、やはり見たことある部分は適当に飛ばしてしまっていた。新しいストーリーを見たいという気持ちに同じ話を何度も見たくないという気持ちが勝ってしまえばその人はやめてしまう。これはサービス開始前から想定されていたことだと思うが、運営する上でかなり難しい問題だっただろう。

 

キャラクター

 先ほど書いたように、本作には56人の神器使いが登場し、各キャラに個別ストーリーと一枚絵が用意されている。個別ストーリーは本編と比べれば短いものだが、十分読みごたえはある。キャラの比率は女性よりだが、男性キャラも魅力的なキャラが多かったのは個人的に高評価ポイントだ。キャラは会話時には結構よく動くし、また戦闘時には結構よくしゃべる。それからキャラ画面でタッチすると声と動作で反応してくれる(頭胸腹足の4種類)。怒られたり煽られたり反応は様々。ちなみに個人的お気に入りは晏華の頭とリリコの足。また、資質試験というサブコンテンツではランダムなキャラ同士が戦闘する場面があるのだが、対面するキャラ同士で一言ずつだが固有の会話が発生したりと、細かいところまで手が行き届いているところも高評価だ(下写真)。

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 キャラクターは入手時にSからCまでのランクが設定されているのだが、ランクを上げることでステータスは最終的に同じになる。中国のソシャゲではよく採用されているシステムのようだが、個人的には良いシステムだと思う。

 

システム

 繰り返される7日間というシステムはソシャゲにおいて"は"かなり斬新で、人々の注目を集められるものだっただろう。この"は"というのがポイントで、実際のところ分岐のある物語を繰り返すというのは実質的にルート分岐のあるADVと同じということだ。というわけで、ここからはソーシャルであることを重視してコメントしていきたい。まず、この作品をソシャゲとして出すことについて、長所短所をいくつか考えてまとめてみる。

 まずシステム的な最大の長所はストーリーの追加を簡単に行えることだ。これは以前自分がプレイしていた「拡張少女系トライナリー」においてプロデューサーが言及していたメリットである。据え置き機でのDLCだとやはり審査などでより多くの時間が食われるようで、アプリだとユーザーの反応も見つつ迅速で柔軟なアップデートが可能ということだ。もう一点大きな長所があり、それはスマホという媒体が持つ潜在的なプレイヤーの多さだ。仮に据え置きとスマホアプリで開発費が同じなら、維持費(これはたぶんアプリのほうがだいぶ高い)を抜きにすれば単純計算で据え置きの10倍のプレイヤーが平均で低下の10分の1課金してもらえればよいということになる。仮に定価8000円の作品が累計100万本売れたとして売り上げは80億円だが、これはセルラン上位のソシャゲなら四半期で叩き出せる額である。結局この要素がスマホゲーが粗製乱造される所以なのだろう(最近は作る側も宣伝費をかけないと売れる作品はできないという認識になりつつある気がするが)。他にもあると思うがひとまずこれで十分だろう。

 一方で短所。まず頻繁にアップデートする必要があるということだ。定期的にイベントを開催したりストーリーを追加しないとユーザーが離れてしまうということである。もう一点挙げるとすれば、本来ゲームのために作られたものではないスマホという媒体を使うことからくるスペックの限界と操作性の悪さがある。要はハード側の問題ということである。こちらもまだまだある気がするが、とりあえず2点にしておく。

 この長所と短所を見比べてみて、トワナナは据え置き向きかスマホ向きかどちらだったのだろうか。少なくとも日本版について言えば、間違いなく前者である。なぜならアップデートがかなり少なかったからだ。とは言えこれは初動が悪かった結果とも言える。この点を無視すればどうかと言えば、結構微妙なところだが個人的にはソシャゲ向きと考える。短所としてスペック的な限界を挙げたが、これはストーリーを最大の売りにする作品にとっては問題にならないからである。

 しかし、7日間の繰り返しというのはなかなか難しい課題だっただろう。ストーリーの項で書いたように、周回や現実時間とリンクしている不便さが原因で飽きられてしまう可能性を孕んでいるからだ。継続的な収入が難しいのであれば、買い切り+DLCでの新ストーリー追加の方が向いていたと言えるのかもしれない。結局この点は運営側の自信次第ということになるだろうか。少なくとも中国ではこの方法で成功し、日本では失敗したということだ。

 日本ではストーリーの追加もほとんどなく終わってしまったので未来は分からないが、順調にストーリーの追加が進んでも、7日のループという形式ではやはり問題に突き当たることになると思う。それは物語の膨張だ。ストーリーは7日と決まっている。定められた場所、定められた時間の中で新しい物語が増え続けることで、物語が着ぶくれしてしまうのだ。収拾がつかなくなると言っても良い。そして物語が増えることは、ひとつの物語が薄まることを意味する。始めたばかりの中国版ではその時が近づいている、あるいはもうそうなっているのかもしれない。この課題に対応することが、ここまで成功を収めた中国版の最後の挑戦になるのではないかと思っている。

 最後にもう一点、言っておかなければならないことがある。ソシャゲであることが、Trueエンドを設けることから解放される一つの条件となっているということだ。買い切りの形で完結させるということは、つまり何らかの「物語の終わり」が必要ということである。7日間の終わりに現れるエンディングはどれも確かに終わりではある。が、完結した物語である以上「永遠の七日の終わり」が必要なのだ。これでは自己矛盾ではないか。要はそういう主張である。いろいろ反論も出そうな主張だが、なんとなく自分の感覚を理解してもらえたらと思う。一方でソシャゲはストーリーやイベントが追加される宿命を持っている。そのため、真の終わりは来るべき時に来るものとして先送りすることができ、ユーザーもそれを咎めることがないのだ。つまり、ソシャゲであるからこそ「永遠の七日」は「永遠の」七日でいられるということを主張したい。

 ここからは非常に個人的な見解だが、この作品にTrueエンドは必要ないと思っている。すべての結末は平等であり、自分の望む結末こそがTrueエンドだというのが自分の主張だ。だから中国版がサービス終了する時も、何らかの結末を用意せずに日本版と同じように半ば打ち切りのような形で終わってほしいと思っている。なぜならそれこそがそれまでに過ごしてきた7日間の繰り返しを正当に認めることだと思うからだ。

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 ・グラフィック

 先ほどからスクショをたくさん貼っているが、グラフィックは良好だ。先述したようにキャラはよく動くしよくしゃべる。キャラやステージのモデリングもしっかりしているし、絵も統一感があってよい。戦闘ステージで一部変な日本語が書いてある(「観光地区を観て」など)のだが、これに関しては中国の作品ということで大目に見ておこう。これは宣伝だが、公式ビジュアルブックが中国で発売されているのでみんな買おう。京東などで買えるので。もちろん私も買った。

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UI、操作性など

  UIに関してはあまりコメントはない。ただし、全体的に説明不足が目立つ。正直、自分で試行錯誤しないと何も分からないといった感じだ。見た目やデザイン、配置は良いと思ったが、個人的には全体的にアイコンの大きさが小さく感じた(ただし自分の端末はiPhone SEなのでかなり小さい方だ)。特に戦闘時のスキルの発動やキャラの切り替えがやりにくかった記憶がある。そういう意味で個人的には操作性はあまりよくなかったと思う。途中でアプリが落ちたり戦闘中にロードが入ったりということはなく、動作は特に問題なし。戦闘はスマホにしては十分面白かったと思う。ただし、スマホという媒体でこの手のしっかりした戦闘がどこまで需要があるかというのは別の話だ。

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課金システム

 スタミナ回復アイテムを購入できないこの作品における課金システムは基本的にガチャを引くためのものと言って良い。基本的に課金ができなくなっているサービス終了間際しかソシャゲをプレイしない自分にはあまり概念として理解できていないのだが、どうもガチャは渋かったようだ。個人的には気にしない要素なのだが、アプリストアでいろいろな作品のレビューを見ているとガチャの渋さ周りの文句はかなり多く(毎回うんざりしながらチェックしている)、渋いとそれだけでプレイヤーが減っているのではという気もする。この辺りは結局バランスなのだろうが、難しいところだ。自分が無課金で進めていた分には、作中1日ごとに石が3個(7個で1回引ける)貰える上に同キャラを重ねる必要もないのでそれほど不便は感じなかったのだが。ストーリー上やサブコンテンツでもキャラは貰えてしかも結構強いのだが、結局そこに行くまでに人が離れてしまったんじゃないかという気がする。それから恐らくキャラと装備が両方排出されるシステムは総じてどの作品でも不評なようである(それで大成功しているFGOの例はあるが)。これに関してはキャラを売却できないシステムでは致し方ないような気もするのだが、キャラ以外が排出されないこととそれなりの頻度で引けることを両立させられるシステムはないのだろうか…。

 スタミナ回復アイテムと言える時計が課金で買えないのはいくつか理由があったと思っているが、最大かつ現実的な理由は一気に進められてしまうと新しいストーリーの追加が間に合わず、その間に飽きて辞めてしまう人が出るからだと推測している。そういう理由であれば、売らないのは合理的だ。他にもあるが、これは後述。

 それから衣装を買ったりもできたのだが、これについてはそもそも数が少ないのでどうしようもないといった感じか。思い入れの強いキャラがいる人は多そうなので、プレイヤーがそれなりにいれば良い収入源になったのではないかと思うが…。

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運営

 最初の方で書いた通り、日本版の運営はDeNAが担当していた。28日しかプレイしていない自分にあまり言える意見はないが、少なくともあまり作品に対する愛のある運営だったとは言えないと思っている。サ終前のワールドチャットやtwitterでの反応を見てる感じでも、あまり運営に肯定的な意見は見られなかった。少なくとも、サ終のかなり前から運営はほぼ労力を割いていなかったことは、ユーザー維持のうえで肝となるストーリーの追加がほとんどなかったことから明らかと言って良いだろう。例えば韓国版は本土版よりは遅れているものの、高頻度でイベントやストーリーの追加を行っている。

 あまり運営の悪口を言いたくはないが、やはり自作でない作品の運営ということもあって思い入れは少なかったのではないだろうか。悪く言えば、中国で大ヒットしてるんだから日本に輸入すれば儲かるだろうという安易な考えで権利だけ買って、いざ配信してみたら思ったほど利益も上がらなかったので見捨ててしまったと思えて仕方ないのである。

 ごく一部の人気作に売り上げを半ば独占するかのような状況の中では、大当たりしそうな作品にリソースを集中するというのは合理的な運営ではあるのだが、ユーザーとしてはたまったものではない。実際、売れる作品はだいたい初動から売れているので初動が良くなかった作品は見切られがちだ。ある程度仕方ないとはいえ、既存の作品を育てることをやめて新作にリソースと宣伝費を大きく割くのはどうかと思うのだが…(ただしこの問題の根底には流行を追い求めるユーザー側の姿勢があることだけは指摘しておく必要がある)。

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その他 

 アプリサイズの大きさはかなり問題だったのではいか。自分が始めた時のアプリサイズは1.8GBだったが、早々に更新が打ち切られたことを考えるとおそらく初期のころからかなりの容量だったのだろう。プレイ後に最終的に1.8GBという大きさであれば別に普通である。問題なのは、ダウンロード時点でこれだけの大きさがあるということだ。自分のように未だに16GB程度のの端末を使っていて容量に困っているという人はそう多くないと思うが、一気に1.8GBの通信量が発生しては困るという人は結構多いのではいか。中国の事情は知らないが、日本では固定回線を引いておらず、利用量が多いと通信制限が発生するポケットwi-fiやそれすら持たずにスマホの通信量内でやりくりしている人も多い。自分も含め、そのような人には始める前から1.8GBの通信が発生して、回線速度の差にもよるがインストールだけで数十分かかるというのは始めるに際してやる気をなくす原因に十分なりえると思うのだが。ちなみに自分は友人(一緒に初めて無事一緒に沼に落ちる)の家のwi-fiを使わせてもらったが、インストールに1時間弱かかった。

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 永遠の七日は自分がこれまでやってきた作品の中ではもっともハイクオリティな作品だった。全体的に高いレベルでまとまっており、それこそ据え置きでプレイしているようだった。ソシャゲという枠組みの中でループする物語を実現させようとした試みは意欲的で、ストーリーを一本道にさせない方法として一つの解決策を示すことができたと思っている。しかし初動が悪かったためかストーリーの追加もほとんどなく、これでは何もできないままに捨てられたようなものだ。何が問題だったか一つに絞って言えと言われれば、宣伝と答えるだろうか。そもそも据え置き機が広く浸透している日本ではこの手の一人向けかつ重厚な作品は他国と比べてスマホで不利なのかもしれない。また重い(時間的、精神的に要求が多いという意味)ので、何作品か掛け持ちするような人には基本的には向いていなかっただろう。

 ある国でヒットしたからと言って、ほかの国でも売れるとは限らない。しかし、売れるからには理由があり、長く売れているという事実はその作品の十分なポテンシャルを証明するものだ。でもそれだけでは不十分で、適切な運営と宣伝がなされなければ日の目を見ることはない。もちろんそれだけやっても天の時を得られない可能性だってある。高いクオリティのある作品が知られずに消えてしまうのは寂しいし、作品がかわいそうだ。アニメが1話切りされ、ゲームの将来性が1か月で判断される。まさに終わろうとしている作品ばかりやっている自分が言えることではないが、自ら探し出して発信していくしか道はないのかもしれない。

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 だいたいこんな感じだろうか。文量の割にあまり深く込み入ったことを書けていない気もするが、レビューはこんなもんにしておこう。次は自分のプレイ記録を簡単に残しておく。こちらはネタバレ全開だが、もう終わってるのでいいでしょう…。何度も言うが気になったら読むのをやめて中国版なり韓国版なり始めて欲しい。

 

○プレイ記録

 以下は自分の28日間にわたるプレイ記録だ。永遠の七日というソシャゲが日本で展開されていて、1か月にも満たない短い期間ながらこの作品に魅せられて全力でプレイした人間が少なくともいたという事実を残せればいいと思う。全部詳細に書くととんでもない量になるので、最後以外はあっさり目に進めていく。

開始まで

 自分が始めたのは2020年3月29日で、プレイした期間は28日間あまりである。普段の終末ソシャゲではせいぜい1週間程度しかやらないことを考えると、異例の長さと言っても良いだろう。これはひとえに前から期待していたからということに他ならない。そもそもこの作品には実はサービス開始前から注目していたのだ。当時まだ重度のトライナリー(※拡張少女系トライナリー。かなり雑だが詳しくは以前書いた記事でも読んでほしい)ロスを負っていたこともあって、プレイヤーの選択で変化するストーリーという要素に注目していたのだ。が、結局サービス開始以降は話題も少なく結局自分ではやらなかった。そんな中で1年持たずしてサービス終了が発表されたことを知り、これは是非ともやらねばと決断したという次第だ。さて、この28日という数字は意味がある。調べた感じ、基本的にこの作品にはスタミナ回復の概念がなく、作中で1日行動できるポイントを獲得するのに24時間を必要とすることが分かっていた。選択で変化する7日のストーリーという性質上、これは最低でも3周はやらないと話にならないだろうと思っていたのだが、結局コロナ騒動で暇なこともあって待ちきれずに4周することにした。このような経緯である。が、いざ始めてみるとなぜかスタミナ回復アイテム(非売品)がたくさんあったおかげで結局18周もやることになるのだが…。

 さて、始める前に最初の関門に突き当たる。それはアプリサイズが1.8GBあるという問題だ。終末ソシャゲ仲間の家に遊びに行っているときにインストールしたのだが、ネット回線のない自宅だったらまずここで詰んでいただろう。ちなみに夕食の買い出しと料理、食事まで済ませてもまだインストールは完了していなかった。

 

プレイ開始~1周目

 翌日は友人と少し遠出していたので、起動したのは夕食のラーメン屋だった。まず始まった謎の声による問いかけの時点でもう確信した。「やべえの引いたなこれ」。同じくトライナリー沼に深く落ちていた友人も同意した。サービス終了の記事を見つけてしまった時点でもうこうなることは決まっていたということだろう。ところで最初の選択肢の選び方はこの後の何かに影響したのだろうか? 

 日本版限定の最初に引き直せる6連では確かヴィラ、チモシカ、バキューラ、それにロナックか誰かのピースがあった記憶がある。Aランクはいなかったのだが、緩和措置もないので神器使いが多くいることのほうが大事だろうと思ってのことだ。実際のところは結構引けたのでむしろAを重視すべきだったのだろうが…。最初の白夜館は確かニーヴィだったかな。

 1周目は正直何もわからんと思いながら進めた。6日目でもう既に物語が動き出したことには心底ビビった記憶がある。誰が7日の物語の2日目でもう死人(厳密には違うが)が発生すると思うんだ。残り3日では好感度が78まで上がっていたのでアンを追いかけたが、当然のように逃げられて悲しみに沈む。アントネーワは死ぬしアンには逃げられる市で自分の無力さに打ちひしがれながらエンディング。ベイシティまで開放したのでエンディングは箱庭の風景だった。早々に引いたダルヴィラとヴィラ、アンを主力として使っていた。

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2周目、3周目

 アンに逃げられて深い悲しみを背負った上にそもそもアントネーワが好きだったので2周目はアントネーワを救うことを目標に。方舟は作ってなんとか生命結晶も手に入れるが、突然の目標技術力210の前に完敗。深い絶望を負う(2回連続2度目)。同じエンディングを見てもつまらないので最後はわざと負けて終末へ。この間に記憶殿堂でワタリとアラシを迎え入れる。

 3周目。1周目も2周目も中央庭に入らないを選択して今回も選択したら謎の状態が始まって困惑。この選択ができることは良い意味で大きな驚きでだった。ここのあたりで一緒に始めた友人と会ったので、お互い進捗の話をした(友人は3周目か4周目かでアントネーワルートを成功させていた)。そして迎えた二人の街。最終的にチモシカとワタリが好感度Maxまで上がったので終末はワタリと迎えたのだが、この瞬間が自分が最終的にトワナナに落ちた瞬間だったと言って良いだろう。どうせどこかで大きな物語に巻き込まれることになるだろうとはじめは思っていたところが、本当に最後まで無関係に過ごせるような選択肢が用意されているのは本当にうれしかった。おまけにエンディングはここまで本編で散々酷い目に遭わされてきたワタリである。作中最大の犠牲者の一人であるワタリと戦いから離れたところで最後を受け入れるこの結末は、個人的にはワタリルートのどのエンディングより好きなエンディングだ。言及していなかったけれど、チモシカのキャラストも笑いを取りつつ最後はきれいに締めていて、個人的に好きなストーリーのひとつである。

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4周目~17周目

 4周目はもはや記憶がないが、またアントネーワルートに失敗して終末だった気がする。5周目でようやく成功。3度目の正直でようやくアントネーワを助けられた時の嬉しさは勿論、復帰後の怒涛の巻き返しの爽快感という意味でも中央庭の女王にふさわしいルートだったと思う。最後に選んだ結末はディープブルースター。これは当時は迷わず選んだ選択肢でその後もう片方の結末は見ていないのだが、今はちょっと疑問に思っているところもある。

 6周目はワタリルート。どちらの薬を注射するかは10分くらい迷ったが、黒にした。正直言って正解は白なんだろうとは薄々思っていたのだが、残された日は4日しかないと思えば効き目が穏やかなんて言っていられないと思ったのだ。しかし今思えばこれはかなり早計な判断だったように思う。さっきアントネーワルートの残り1日でお前は何を見たんだということだ。結局5周の終末を繰り返すうちに、どうあがいても終末は避けられないと決めつけていたのかもしれない。7日間のその先のことを含めてワタリの幸福を第一に考えるなら、白い薬一択だっただろう。黒翼は100%まで上げられたので、エンディングは漆黒の断末魔。だいたい分岐の時点で想像していた結末の通りだったが、実際に見てみるとそれはもう悲惨だった。でも後悔はない。ワタリは一人で歩けるようになったからだ。

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 すぐにでももう片方のワタリルートを見たいところだったが、同じ話を連続で続けるのもどうかと思い、7周目はエルビと幽桐のピース集めも兼ねて全黒核回収へ。このころには神器使いも20人ほど揃っていたので特に問題なく回収することができた。そして迎えた最終日だが、これもかなりの衝撃的エンディング。いや、エンディングそのものの流れはなんとなくこうなるんだろうと思っていたので、本当に衝撃的だったのはラストバトルのところだろう。最後に一言残して次々とリビングデッド化していく神器使い達を前に、あまりの悲惨さに声も出なかった。全く好きなエンディングではないが、この作品を象徴するエンディングを選べと言われれば迷いなくこれを選ぶだろう。それほど完成度の高い結末だったと思う。

 犠牲の意味を見たのが17日で、残された現実の時間が10日ほどと、時計が60個ほど。現実の時間が少なくなってきた。というのも、最後の1周は現実の時間に合わせて進めようと思っていたからだ。とりあえず見ていないルートを見ようということで、アンルートへ。あえて何のことかはわざわざ書かないが、伏線は大量に張られていたのに気付けなかったのは結構悔しい。アンとアントネーワはよく対比されていて面白いと思う。

 9周目は満を持してワタリルート(白)へ。余裕があるのは分かっていたのでついでに幽桐のピースも回収。母親不在という分かりやすくフロイト的なテーマなのは良いが、それを白と黒の薬に簡単に分けてしまうのはどうなのかとは思っている。少なくとも自分は副作用が弱い薬を処方することが愛だとは言えないと思う。だいたいそれ以前にそのような効果なら力の比率の初期値が白と黒でほとんど同じなのは全く筋が通っていないだろう。とまあこの翼の成長システムに関しては不満は多いのだが、ストーリーの筋自体は白翼も黒翼も結構好みだ。ただやはり白翼が優遇されている気がするので、個人的には残り2日の話を両方白翼側にして、そこで黒翼側のメリットを提示できればよかったのではないかと思う。余談だが白翼残り1日のレチェールがかなり好き。

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 10周目はヒーロールートに行こうとしてあえなく失敗し、あまりやる気もないままに終末へ。求められる条件がかなり厳しいことが分かったので、ヒーロールートは最後に回すことに。

 11周目は庇護の木。なんとなく本筋から少し離れている気がしてあまり好きではない。これはワタリルートでもそうなのだが、そもそも日本版に収録されているストーリーだけでは教会の描写があまりにも不十分で、ぽっと出の印象がぬぐえないのだ。結局イザックも一切登場しないままにお供え物にされるし指揮使いが最後なんで死んだのかが謎。

 12周目は久々の自由者ルート。記憶の種を目指していたが、普通に失敗したので二人の街へ。具体的に誰だったか覚えていないが3人クリアして、消去法のような形で最終日はミーラと迎えた。世界の終わりを全く感じさせない平和な終わりでよい。

 13周目も同じく記憶の種を目指して失敗。今回は4人クリアして最終日は晏華を選択した。今までのワタリやミーラとは違い、ストーリーの中心にいる晏華の場合どうなるのかと思っていたのだが、やはり大きな物語の幕間の出来事になっていて、自分が参加しなかろうが中央庭は最後まで戦い続けていることを認識して少し申し訳ない気分になる。

 14周目。今度こそ記憶の種。もう失敗できないので、ちゃんとタイムスケジュールを組んでたどり着いた。これも非常に好きなエンディングだ。ちょっと余談。少し怪文書じみてくるが、自由者ルートで現れる指揮使いは、別の世界線ではなく過去の周回をしていた自分だと認識している。なぜそう主張するかというと、現実の時間とリンクした時間を辿る永遠の七日という物語の一つの答えこそが記憶の種というエンディングだと思うからだ。詳細は雑記に書く予定。

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15周目~17周目

 いよいよ残すはヒーロールートのみ。ここからは失敗できないので攻略サイトに頼りっきりで進めることになる。まずはヌルの記憶殿堂を開けるためにヌルの記憶を目指す。会話の中で少なくともアントネーワルートで登場したリビングデッド・ヌルが方舟で見たヌルと別人物(?)であることが分かって一安心。これで一応全ルートを確認したわけだけれど、ヌル関連、リビングデッド関連の知識はやっぱりまだ情報が足りていないと感じる。結局幻力とは?異界とは?という感じだ。あまりそのあたりがよく呑み込めないままだったので、エンディングもいまいち印象が薄く、あまり覚えていない。

 その後無事記憶殿堂もクリアしてヌルが加入。進行を楽にするうえでも重要な、記念すべき30人目だった。この時点でもう残り7日、当初の予定だと時間通りに最後の1周を始める計画だったのだが、ヌルのキャラストを見ないわけにはいかないと思って計画を変更してもう一度自由者で進めることに。予想に反してヌルのキャラストは物語と一切関係しないものだったが、むしろそれが良かった。もちろん最後の日もヌルと過ごす。図書館でのヌルとの会話がここにいつもより大ボリュームの記録を残した原動力の一つとなっていることは今更言うまでもないだろう。

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 満を持して17週目、神の碁盤へ。これを最終周としても良かったのだが、最後にヒーロールートはあまり気乗りしなかったのでこちらも高速で進めることに。最後の敵は確かアルティメットクリードだったと思うんだけどどこから出てきた?ヒーロールートは2周してもやっぱりよくわからん。ところで話がそれるがアントネーワが治ったことは仄めかされつつも本人が登場しないのは良かったと思う(最初はかなり不満だったが、そうしないとアントネーワルートより優遇されてしまうことになるので)。

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18周目

 日付はもう25日になろうとしていた。残り2日半しかない。最後の1周くらい現実に合わせてなんて言っている場合ではない。

 しかし、実際に18周目を進めるまでには時間がかかった。最後をどのルートにするか、なかなか決められなかったのだ。最後まで残った候補は3種類、二人の街、記憶の種、ディープブルースター。つまり最初の最初で分岐し、決めたら最後後戻りはできないということだ。結局、「うわー!」の画面から進むことができず、風呂に入って悩んでも決め切らず、結局その日はあきらめて寝てしまった。本当にこれが最後だと分かっているからこその重みだ。

 翌日、25日の朝。意を決して話を進め選んだ選択肢は「中央庭の一員になります」。最後の1周はアントネーワルートだ。記憶の種はこの物語の最後をくくるにふさわしい象徴的なお話だし、二人の街はサービス終了という終末そのものを美しい思い出に変えることができる良いストーリーだ。でも、最後にもう一回アントネーワと世界を救いたいという思いが勝った。聖人の後ろにいると、自分もほんの少しだけ聖人でいられる。自分一人では世界を救う気になんてなれなくても、彼女が言うならやってやろうかと思えてくる。彼女の強い意志は報われてほしい。だから最後にもう一度、物語に参加しようと決意した。

 17回の7日間、現実の時間にして26日で神器使いは30人集まった。これまで2回失敗したのが嘘のように、方舟は簡単に作ることができた。方舟で過去に行って、学生時代のアントネーワと話す。孤独になりたくないからみんなを助けると彼女は言う。もうこの会話も4回目だと思うが、今は本当にそう思っているのだろうかという疑いがある。そう思ったのは初めて生命結晶を手に入れた残り3日の朝、彼女が初めて「お願い…私を助けて」と自分を助けることを望んだ時だ(下画像下)。この発言を聞いて、彼女の本当は助かりたいんだという本心を初めて聞けたような気がした。自分が最後くらい物語に参加したいという気持ちを消せなかったように、彼女の心にも本当は自分が他人を助けたいのと同じくらい、ひょっとすると本当はそれ以上に自分だって助かりたいという気持ちがあるんじゃないか。孤独になりたくないから自分は最後がいいと言っているのはそんな気持ちを無いことにするための自分への言い聞かせじゃないのか。

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 残り3日。指揮使いが彼女のことを深く知ろうとしたからこそ彼女も本心を明かしてくれたのだろう。指導的な立場が彼女の私を覆ってしまったのだろうか。技術力210も救急センターも、今となってはそこまで苦ではない。そのせいか、翌日に元気になったアントネーワを見ても前回ほどの嬉しさはなかった。しかしここから先はやはり圧巻だ。雑事から解放されて躍動するアントネーワを見るのが本当に楽しい。

 残り1日。ヒーローは勿論アントネーワを操作して倒す。が、ここでひとつ別の場所で問題が発生した。実は25日に破片が揃ってダルヴィラを神器解放することに成功したので余った時間を使ってストーリーを進めていたのだが、ダルヴィラのストーリーには体力を50以下にする必要のある場面があった。残り2日の時点で体力を60程度まで減らしていたのだが、アントネーワルートではなぜかヒーローを倒した後で全員の体力が100まで回復するのだ。なんでなのかは知らないが、すっかりこのことを忘れていた。お陰でダルヴィラは最後まで攻略できず。結局この日はできることもないまま過ごすことに。

 そして迎えた残り0日、現実の時間にして4月26日午後11時。最後の選択肢でやっぱり悩んだ。最初は世界を救つもりでいたけれど、ストーリーをもう一度見てアントネーワだって本当は自分を救ってほしいと思っているんじゃないかと思うと簡単には選べなかった。5分悩み、結局当初の考え通り最後に世界を救うことにした。もう片方の結末を見ることはできなかったが、見れば答え合わせができるのだろうか。こうして最後の周回が終了した。

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2020年4月27日

 もう1周回するだけの時計はない。できることと言えば、ストーリー以外のことくらいだ。まずは今まで一度もやらなかった万神殿の無限の間をやってみた。多少時間はかかるが結構面白いシステムだ。階層が浅いので特に何も考えずに進められるが、もう少し深くなればそうもいかないのだろう。

 それから資質試験をやる。神器使いはワタリだ。実はこれまで2回挑戦したことがあるのだが、最初の試験がどうやっても突破できずに失敗していた。今回こそは成功させようとスキルなどをもう一度読み直す。すると、スキル2は溜めでノックアップができると書いてある。そういえばワタリがNPCの時に見慣れない技を使うと思っていたのだが、スキル2だったのか。これに気付いて妨害試験がクリアでき、ようやく突破できた。実技試験もサクサク進んでいたのだが、まだ終わりじゃないと言わんばかりに最後の最後に現れたのがアントネーワだった。これが勝てない。どちらかと言えば問題はアントネーワではなくむしろほかの2人だったのだが、誰だったかまでは忘れてしまった。これまでも何度か実技試験が神器使い相手でどうしても勝てないことは何度かあったのだが、今までで一番絶望的だった。10回くらい挑戦しても2人も倒せない。これが中央庭の女王の実力か…。諦めて朝に備えるために一旦寝ることに。

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 起きたのは7時ごろ。気合を入れるために完璧な朝食をつくり、サービス終了に向き合うための準備を始める。最初に行ったのはタイトル画面にするCGの選択だ。サ終後にはもう変えられないだろう。ワタリが墓の前で翼を広げるものや記憶の種、アントネーワとの別れや少女の王座など、候補はそれこそ選びきれないほどあった。他にも全ての神器使いを最後にタッチしてコメントを聞いたりしているうちに時間は一瞬に過ぎた。もう一度資質試験でアントネーワと戦ってみるが、やっぱり勝てなかった。課題はクリアするまで現れ続ける。アントネーワは最後まで私の頭を悩ませ続けた。

 サ終まであと10分というところ、ふとチャットを開いてみるとなんとこれまで一度も動いているところを見たことがなかったワールドチャットが動いているではないか。基本的にほかのプレイヤーとの交流が少ないこの作品で、サービス終了を惜しみ、残り少ない時間を楽しもうとする人々の姿を見ると心に来るものがある。いつもより多い接続でサーバーに負荷がかかっていたのだろう、少し通信状況も悪くなっていた。

 午前10時50分。ひょっとすると次の通信が発生するまで数分は大丈夫なんじゃないかという淡い希望もあったのだが、その時はすぐに訪れた。

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 いろいろな作品でもう何回も体験した瞬間だが、この時ほど緊張する瞬間はない。この短い接続試行が終わったら、タイトル画面に戻されてしまうのだから。この瞬間、現実とリンクした循環する7日は途絶え、永遠の7日はこの世界から遠い場所で永遠となった。

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 選んだタイトルCGは二人の街。28日という現実の時間での永遠の七日という作品との短い交流を、始めた時から定まっていた終わりの前に記念する1枚だ。

 

  28日間のプレイでの最終結果はこの通り。最初は4周と考えていたところがふたを開けてみれば18周。でも4周しかできていなかったらきっと今頃後悔していただろう。28日というのはひとつの終末ソシャゲにかけた中では過去最長のプレイ期間だったが、期待に応えてくれる内容だった。

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 この後いくつか雑文を書く予定だったが文字数が多くなってきたのでこの辺りで一旦区切ることにする。テーマとしては「永遠の七日と時間」「ソシャゲと分岐する物語」「永遠の七日の主題」を予定している。

 最後にもう一度。気になったら中国版を始めてくれ。