焚き付け

主に日記を書く

ぼくのなつやすみ2019 前編

 当初の予定通り、7月後半は日記を更新できなかったので1か月分まとめておく。この間研究で熊本や高山に行った後に東北でしばらく滞在して沢や祭りに行っていた。いちいち詳細なことはもはや覚えていないので、個々のできごとについてかいつまんで述べておく。なお前編と書いているが、後編は存在しない予定である。

 

 研究の話はまあいいだろう。まずは最初に行った鳳凰三山の縦走から。縦走は昨年の北鎌尾根以来1年ぶり,大学に入ってからまさかのまだ3度目である(お前本当に登山サークルの人間か?)。お隣の山岳サークルの知り合い2名と行った。この後東北で沢に行くつもりだったので荷物にハーネスやら登攀具やら重い不要物がたくさん入っていたのだが、預けると金がかかるので結局歩荷した。これは思った以上にしんどかったのでもう二度とやらない。ルートは青木鉱泉から夜叉神峠までの1泊で、天気も良くなかなか快適な縦走だった。なにか物足りないような気もするが、たまには縦走も良いなと思わせてくれる山行になった。あわよくばオベリスクも登ってやろうと密かに思っていたのだが、看板が打たれている場所のすぐ横のクラックを見てこれは確保が無いと無理だと諦めた。ところが一般に登られるルートは看板の横を抜けて正面側に回った場所だったそうで、そこまでは見ていなかった。そこに気付かなかったのは非常に残念ではある(気付いていても登らなかった気はするが)。下山後は石和温泉に行ったのだが,駅前からして整った場所で首都圏の威力を感じる場所であった。開湯は戦後で意外と歴史は浅いらしい。

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稜線の美しさは特筆すべきものである。

 温泉に入ったのち東京に出て知人とガストで晩飯を食った。新宿の雑居ビルの中だったが客層はどこにでもあるガストで安心感がある。安く済ませるために前菜みたいなメニューのライスセット(事前にセットにできるのかは聞いておいた)を注文したのだが,案の定店員はライスを持ってくるのを忘れていた。その後別の店員にライス来ないんだがと文句を言ったら,怪訝な顔をしながら厨房に戻って5分くらいしてから持ってきた。スープバーが卵スープだったのだので底に溜まっている大きな白身を拾おうと躍起になっていたのは自分でも情けない。その後別の知り合いの家に泊めてもらった。そいつの家で異世界転生系のアニメを数話見たのだが,いろいろとめちゃくちゃで突っ込みどころが多くて面白かった。

 

 その翌日は東北に移動して,さらに翌日から里と合流してひとつめの沢に行った。増水していなければ簡単だという認識で入渓前は水少ないなと思っていたら意外と苦しくて,後日他の記録と比較してみたら少ないどころかかなり増水していたらしい。おまけにこの山行は夕食が最悪で,ラーメン(生麺)を小さな鍋で煮たためどろどろの塊になって悲惨だった。ただし焚き火ができたのでその程度のマイナス分は帳消しになる。焚き火さえあれば夜は満足である。翌日は途中でルートをミスに気づいのにそのまま強引に進んだためひどい目にあった。こうやって文章にすると酷いもんだが,意外と楽しかった山行でもある。晩は金ヶ崎駅前の台湾料理屋に行ったのだが,麻婆麺がめちゃくちゃ辛かったせいで予定の電車を乗り過ごした。擁護のために、麻婆麺自体は今まで食べた中で最もおいしかったことを書き添えておく。岩手の里の家へ。

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奇観(登山道でも行ける)

 基本的にその後は里の家を拠点として過ごしたが、自炊が出来るので食費が抑えられて大変ありがたい。普段家では料理などしないので、ここぞとばかりにいろいろ作らせてもらった。岩手は食肉の生産量が多いようで、外国産の安い肉が少ないかわりに国産肉が安くて良い。とは言え最も重宝する鶏もも肉があまり安くなかったのは残念だった。野菜も全体的に安い上におつとめ品が多かったので、1食が200円を超えることはほぼなく、今回体調を全く崩さなかったのはこれによる所が大きい。

 

 1,2日して後輩の重が来るということで、仙台(18きっぷで京都から日帰りで行ける限界)の近くで回収してそのまま蔵王の沢行くことにした。ところが、後輩の宇に行く予定の場所を連絡すると「俺も行きたいから今度にしろ」と謎のいちゃもんを付けられてまさかの計画倒れになる。仕方なく3時間くらい議論した挙句別の沢に行くことにした。転進した沢は思ったよりきれいな沢だったが、この沢で最も難しい場所は堰堤の巻きであった。全体的に地味に難しい登攀が相次いだため、練習としてはなかなか良い場所であった。あとは温泉が湧いていたのだが、入れるほどの湯量ではなかった。下山後は夏油温泉に行ったのだが、名物の大湯は非常に熱く、肩まで浸かることすらできずに敗北感を味わった。

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こじんまりとしたところ

 1日開けて、また沢に行った。ここは以前から行きたかった場所で、すでに2回計画倒れになっていた場所である。最初にこの沢の計画をしたのは自分がリーダーだった3回生の時の夏合宿だった。その時は東北で計4本の沢を計画していたのだが、天気に恵まれずに2本だけしか行けなかった。2回目は昨年の夏合宿で、リーダー不在だったので急遽使われていない計画があった自分がリーダーをやることになった回である。その時も天気に恵まれず(関西では関空が水没した台風が来たときである)、また行けなかった。今回ここに行くために東北に来たといっても過言ではない。行ってみるとやはり非常に良い場所で、計画した3年前の自分がやはりちゃんと調べていたんだなと思える場所であった。実は計画倒れになった沢はもう1本あるのだが、それはあまり興味が無いので実質行きたい東北の沢は全て行けたということになる。

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大滝。難しいと思っていたが簡単だった。

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貼りたい写真はたくさんあるがこの程度にしておく。

 もともとこの沢は1泊で行く計画だったのだが,テンポ良く行動できたため日帰りで戻ってくることができた。打ち上げに北上にある謎の地元焼肉チェーンに行ったのだが,到着したらラストオーダー30分前だったので爆速で食べることになった(食べ放題)。ラストオーダーまで30分あれば腹いっぱい焼き肉を食えることを知った。食べ放題メニューにはなぜかしゃぶしゃぶもあったのだが,食べる人は果たしているのだろうか?値段は税込み2000円くらいとお安くてアイスも食べ放題だったので良い店であった。

 

 翌日,次の沢の地形図を買うのも兼ねて盛岡にさんさ踊りを見に行った。さんさ踊りはパレードみたいな感じでいろんな団体が順番に踊っていくのだが,踊りのパターンがいくつかあって面白かった(囃は同じ)。おおよそ見た感じ,学校関連,企業,各地区の伝統的なやつ,地元ダンススクールなどの創作系,の4パターンがある。とはいえいくらパターンがあるからと言ってもだいたい同じなので割と飽きるのだが。

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ラグビーW杯の宣伝をしていた

 重が帰り,入れ替わりで宇が来ることになった。ということで,再び南下して4人で沢に行くことになった。前に宇に止められた沢でも良かったのだが,もっと行きたいところがあったのでそっちにした。そこそこ難しめの沢で,前から行きたかったが合宿で行くには少しきつかろうということで計画に組み込まなかったところである。

 深夜に福島で食料調達をしようとしたら空いている店が1件しかなく,おまけに生鮮食品が全く無かったためひどい食糧計画になった。たんぱく質をどうにかするために加工食肉のコーナーをいつもより丁寧に見て回ったのだが,鶏肉のハンバーグがかなり安いということを知った。その後他の店でも調べてみたが,グラム100円を超えることはまずないし,安い店ではグラム60円程度だった。

 肝心の沢だが,ゴルジュの途中で宇が流されて戦意を喪失したため,残念ながら下部だけ遡行して撤退した。とはいえ下部だけでも非常に良い場所だったので,次回があればリベンジしたい。撤退ということで時間がたくさんあったので,重がイワナを釣って焚き火で焼いて食った。残念ながら自分は釣れず。未だに渓流釣りの感覚は全くわからない。晩飯は喜多方ラーメンを食いに行ったので,難儀して調達した食料は全て消費されずに終わった。

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泣き尺。

 撤退して日帰りになってしまったので,取っておいた蔵王の沢をリベンジすることに。まさか行くと思っていなかったので,せっかく買った地形図は里の家に置いてきてしまった。473円を無駄にした。

 翌朝。入山点まで行ったところで問題が。登山道が通行止めになっていたのである。理由を詳しく調べてみると,どうも火山協議会が噴火の可能性を考慮して気象庁の規制とは別で規制しているようである。これが登山道崩壊の危険性とかを理由にしているのなら気にせず進むのだが(沢とは関係ないため),今回は自己責任のたぐいではなさそうなので諦めることにした。結果論だが地形図はいらなかった。

 やる気を失った重は帰ることにしたので駅まで送っていき,まだ時間があったので別の沢に行くことにした。最初に行った沢の近所である。道路が直前で規制されており,見張りのおっさんが徒歩だろうが通るなと言うので,当てつけのように目の前で斜面を下ってそのまま入渓した。割ときれいな沢だったのだが,途中で中だるみする箇所があってやる気が切れたのでさっさと切り上げて秋保温泉に行った。

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下流部,風情がない

 まだ時間が余っていたので,山形に寄り道して帰ることにした。ちょうど花笠踊りをやっていたからである。その前に少し寄り道をしてベニバーズというコンビニに行った。詳細は後で書く。

 花笠踊りはさんさ踊りと比べると比較的人の入りが少なめで,イベントの雰囲気としてもアットホームでB級な感じであった。しかし一方で山形県知事と山形市長が両方登場するなど気合は入っているようだった。こちらも踊り方に多少のレパートリーがあるようだ。

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特産品の宣伝が楽しかった。

 翌日から数日里が忙しいということで,数日かけて宇と祭りを回ることにした。まずは秋田の竿燈まつりに行く。途中北上線に乗っていた外国人が博多祇園のものと思われるうちわを持っており大変ビビった。今年行ってきたのだとしたらとんでもない行動力である。竿燈まつりはやはり迫力がある。早めに場所を確保して最前列で見られたというのも大きい。竿燈に竹をどんどん継ぎ足して長くしていくのだが,しまいには大きくたわんですごい形になる。目の前で失敗して竿燈が倒れてきたりしてそれもまた楽しい。しかし同じことの繰り返しになるので終盤はややだれるのが残念なところか。解散後は各町内でも竿燈を上げるのだが,こちらはもっと狭い場所で行うのでアナーキーさが増してより楽しい。どうせならここまで見ていくのがおすすめである。その後は久保田城で野宿した。

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画角に収まりきらない

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異常なアンバランス

 翌日。この日は弘前ねぷたと青森ねぶたの昼運行と夜の海上運行兼花火大会,夜に五所川原立佞武多がある。慌ただしいが弘前ねぷたと青森ねぶたの昼運行を見てから五所川原立佞武多を見に行くことにした。実は五所川原だけはその翌日も運行があるので翌日でも良かったのだが,青森の花火大会で人手が少なそうということでこの日に行くことにした。

 予想はしていたが,昼運行はおそらく熱中症に配慮してか踊りも少なめであまり迫力がなかった。特に青森の方はハネトの数も少なく,やはり夜に見てこそだろう。来年以降リベンジしたい。立佞武多は期待以上の立派さで,大型ねぷたはかなりの威圧感である。装飾も手が込んでおり,非常に良かった。アクセスの悪さを考慮しても行く価値が大いにある。

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弘前ねぷたの太鼓

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青森ねぶた,囃子は青森に軍配。

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五所川原立佞武多

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この威圧感よ。

 翌日は花輪ねぷたに行った。ここまでで行った祭りと比較するとややマイナーと言って良いだろう。実際規模も地域の祭りレベルである。花輪といえば花輪ばやしが有名だが,実はねぷたもやっていて,このねぷたの特徴はなんと言っても最終日に灯籠をを燃やすことである。そしてこの日はちょうど最終日。灯籠は結構短時間であっけなく燃えてしまうが,祭りに用いる道具を最後に燃やすというのはフィナーレにふさわしい。おまけ程度に打ち上げ花火も上がるが,距離が近いので結構迫力がある。おそらく有名になることはないと思うが,なにかの拍子で人が増える前に行っておくことをおすすめする。

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東北の夏の儚さが詰め込まれた炎。

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灯籠自体はこんな感じ。

 これで祭りめぐりはおしまい,翌日は里の家に帰った。天気が良ければ翌日から2泊で沢に行こうと思っていたのだが,あいにく悪天のため日程を縮めて1泊で行くことに。結果翌日は暇になったので,野球で有名な某大学に遊びに行った。図書館に行くと,自由に持って帰ってよいという本があったのだが,レパートリーがかなり優秀で,どうしてこの大学の人々はこれらの本を持って帰らないのかと宇と頭をひねった。結局自分はヴェルヌ『世界史概観』上下とエーコ記号論』上下の計4冊をもらって帰った。宇は経済系の本を4冊くらい持っていったようである。自分はマンキューくらいしか知らなかったが,宇に言わせると経済系の本も結構有名な研究者のものが多かったらしい。自分も1冊くらい経済の本をもらって帰ればよかったと今は思っている。またこの大学の食堂はコスパが秀逸で,うちの大学も見習って欲しいと思った。

 

 次の沢のアプローチは公共交通である。買い出しをして出発するが,直前に地図を印刷していないだのなんだので大慌てになった。なんとかはなったがその間に食料の一部を忘れてきたことが発覚する。そのため夕食のシチューの米がなく,うどんで代用することになった。準備はさっさとしておくべきである。最寄り駅で駅寝。

 翌日はタクシーで入渓地点まで向かう。有名な沢,それも3連休なので他にも入渓者がいるだろうと思っていたが,案の定いたというか思った以上にいた。まああまり気分の良いものではない。沢をやる人間(全体でないことを強調した上であえて主語を大きくしておく)は結構自分勝手で,他の人にも沢登りを薦める一方で沢に他のパーティがいると嫌なのである。おまけに沢自体も知名度に値するほどの場所ではなかったのが残念である(写真からそんな気はしていたが)。2本のメインの沢を含む遡下降をしたのだが,どちらも1箇所だけ有名な箇所があってそこは良いもののそれ以外の場所があまり大したことがなかった。おまけに詰め上がりに失敗してロスのない限り最長のルートで藪漕ぎをする羽目になったのも大きい。やはり有名かどうかより自分の勘を信じるほうが大切である。ただし最後に盛大に焚き火ができたことと帰りに寄った松川温泉は良かった。

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きれいな場所はここだけ・その1

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きれいな場所はここだけ・その2

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だが焚き火があれば良い。

 そろそろ潮時である。出発したときにはまで梅雨も開けていなかった,暑い暑い夏の京都に帰らねばならない。沢から帰った翌日,疲れも取れぬうちに里の家を去り,なんとなく最後に海を見ようと女川に寄ってから東京へ,そして翌日には自宅に帰ったのであった。結局25日程度の旅行で沢6回(うち2回未遂),縦走1回,祭り7箇所を巡ったことになる。天候にも恵まれ非常に充実した旅行になった。最後の夏休みとして後悔のないものになったと言えるだろう。

 

おわり